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ストレンジ・デイズ
□人の不幸は蜜の味


保健室のベッドの上に、男同士が絡まりあっている。1人は俺と同じ学生。彼の制服のボタンはすべてはずされ白い肌が露わになっていた。そして後の1人は、他ならぬウチの担任。唄子お気に入りのホスト教師だ。

ヤバい、見てはいけないものを見てしまった。どうみてもこれは普通の状態じゃない。ってかゲイがいるって、本当だったんだ…。

ちょっと半信半疑だった俺に、事実を突きつけてくれたこの2人に乾杯。きっと今から2人でいちゃこらするんだろう。俺は邪魔者ってわけだ。

「お取り込み中みたいで…失礼しました」

だが俺が回れ右をして立ち去ろうとした時、後ろから大声で呼び止められた。

「待て!」

その迫力ある切羽詰まった大声に俺の体は強張る。声の渋さからいって担任の方だ。俺は恐る恐る振り向いた。

「な、なんでしょう…」

出来れば男同士がひっついてる姿なんてもう拝みたくなかったのだが。

「小宮に話がある。ここに残れ」

ホスト教師は立ち上がり、乱れた服装をととのえる。幸いなことに、隣の男子と続きを行うつもりはないようだ。それぐらいの常識はあるらしい。男、しかも自分の教え子に手を出してる時点で常識もクソもないが。

「いや、俺は話したくないんですけど」

「そうですよ先生! こんな奴ほっときましょう」

横にいた男子生徒はホスト教師と1つになる気満々らしい。顔は可愛いといえる部類だが、所詮は男。正直、吐き気がする。

「俺は小宮と話があるんだ。お前はもう授業に戻れ」

「そんな…」

冷たくあしらわれたその男子は、怒りの矛先を俺に向けギロリと睨んできた。あーやだやだ。

「…じゃあ先生、続きはまた今度」

意味深な言葉を残したそいつは、俺から最後まで目を離さないまま、なんとか保健室から立ち去ってくれた。

「で、話って何ですか」

俺はわざと思いっきり不機嫌な声を出してやった。コイツが俺にいったい何の用だってんだ。生徒とのお楽しみを中断するほど大事なことなのか? ………いや待てよ、このシチュエーション。保健室で2人きり。しかも相手は今まで生徒とイケナイことをしていたホスト教師。

もしかして俺って、今かなりピンチな状況なのでは。

だってそれ以外にコイツが俺を呼び止める理由がわからない。自分の今の容姿は自覚している。可愛い男子生徒だけでは飽きたらず、女生徒まで手を出そうとしてるんじゃないだろうな。

「小宮…」

俺が1人脳内で悶々としている間に、ホスト…いや変態教師が距離を詰めてきた。ヤバい、非常にヤバい。

「先生、犯罪は駄目です、よー…」

小声で抗議してみるも、奴には聞こえていないようだった。反射的に後ずさりしようとしていた俺の肩は、担任の手によってつかまれる。

「小宮!」

「ひっ」

いくら俺でも大人の男の力にはかなうまい。だかできる限りの抵抗はしようと拳を構えた瞬間、驚いたことに変態教師が土下座をした。


「頼む! 俺を助けてくれ!」

「……は?」


ど、どういうこと?


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