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ストレンジ・デイズ



しばらく香月を抱き締めていると可愛い顔をこちらに向けてくるので思わず額にキスしてしまった。香月は顔を真っ赤にして俯いていたかと思うと、俺をベッドの上に押し倒して口づけた。

「響介様……」

熱っぽい眼差しを向けられてつい顔をそらしてしまう。お構いなしにあまりにも長いキスをし続けてくるので、香月が求めていることを察してしまった。

「お前、もしかしてする気になってる…?」

「勿論。だってもうしない理由はないですから」

「それはそうだけど」

あれだけ俺がいいと言っても断固としてキス以上の事をしてくれなかった香月がその気になっている。それ自体喜ぶべき事なのだが、俺としては自分も抱きたい気持ちがある。それに今夜そんなことになるとは思っていなかったので心の準備ができていない。

「旦那様に響介様を絶対に幸せにすると誓いました。俺は今までもこの先も、愛してるのはあなただけです。何があっても」

「俺だってはなからそのつもりだっての」

俺にとって一番必要な存在は香月だ。好きだからという次元を越えて、もうなくてはならない存在になっていた。
二人のこれからのために祐司と戦ってくれた香月に免じて、今日は譲ってやることにした。

「まじで痛かったらやめるからな」

「痛くなんかしません」

香月が俺の服を手際よく脱がしていき、自らも服を脱ぐ。一体いつ鍛えてるんだと疑問を持たずにはいられない立派な体格をしている。美人でもない素顔の俺を見て抱きたいとか思えてしまう香月の気持ちはわからないが、本人はヤル気満々だ。俺は香月にすべてを任せて、身を委ねた。





次の日、目を開けるとそこに香月はいた。俺を抱き締めてすやすや眠っている。時間はまだ午前6時すぎだ。

動くと腰が痛い。すべてが終わった後、後処理もすべて香月にやってもらったので俺は横になっていただけだ。だが、これで香月を本当の意味で自分のものにできた気がして嬉しかった。

「響介様」

俺が起き上がったのと同時に香月の目が覚める。覚醒したばかりだというのに綺麗な笑みを向けて放心した俺の手を握った。

「おはようございます。ご気分いかがですか?」

「……最悪」

「えっ」

俺の言葉に焦って起き上がりその場で正座する。俺は三角座りをして自分の膝に顔を埋めていた。

「さ、昨晩はあんな、とても気持ち良さそうにしてらっしゃったのに」

「うるせぇ! そういうこと言うな! お前初めてとか嘘だろ。あんなに手慣れて……どこで覚えてきたんだあんな言葉責めはよぉ」

「いやそんな濡れ衣やめてください。俺は今も昔も響介様だけですから!」

「……くそっ」

昨晩の自分の醜態が恥ずかしくてまともに顔が見られない。最初はよくわからない感覚だったがはずなのに、途中からどうしようもなく気持ちよくなってまともでいられなくなり、とんでもないことも口走った気がする。

「くそ……俺がもっと大人になったら絶対、お前を抱いてやるんだからな。覚えてろよ」

俺がやっとのことでそれだけ言うと、香月は笑顔で「楽しみにしてます」と返してきた。その余裕っぷりにイラついてそっぽを向いていると、香月が優しく抱き締めてきて、しつこいくらいキスをされた。



おしまい
2021/12/9


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