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ストレンジ・デイズ



俺の信じられない美少女レベルを久しぶりに目の当たりにした審査員達はごく自然と俺に投票していた。
審査員は先攻、後攻と書かれた札を持っており良いと思った方の札を上げる。各クラスから一人審査員が選ばれているが、自分のクラスに札をあげても良い。なので一年S組からの審査員は先攻の札をあげたものの、それ以外は軒並み後攻の札を上げてくれた。S組の筑波は「卑怯だろA組!」と叫んでいたが俺が手を握って「ごめんね?」と言えばそれ以上何も言わなくなった。

その後のB組との対決は七竈との久しぶりの再戦だったが、俺の勝利は奴の巨乳の前でも揺るがなかった。まず4人の生徒会メンバーが全員俺に入れてくれる。他の審査員達も俺が笑顔で手を振れば簡単に入れてくれるので楽勝だった。トミーにずっとアタックし続けていたおかげで媚びるのがうまくなっている。
困ったのが二年B組の漢次郎との対決だった。

「漢次郎ぉぉお、可愛いぃぃい」

誰よりも叫んで誰よりも携帯で写真を撮っていたのが俺だった。まさか漢次郎が女物の着物を着てくれるとは。

「やめろよ! 連写すんな気持ち悪い! ていうか何でお前がここにいるんだっ」

「漢次郎可愛い〜〜! 目線こっちこっち!」

この学校に残って本当に良かった。漢次郎のこんな可愛い姿を拝めるなんて。
強敵だった漢次郎にも勝利し、とんとん拍子に俺は勝ち進んでいった。最後の対戦者である2年F組の候補者は清楚なワンピース姿でとても可愛かったが、俺に負けた途端「何でお前が俺に入れへんねん!」と荒木に掴みかかり乱闘騒ぎになった。夏川が何とか止めて大事にはならなかったが一つ間違えば流血騒ぎになってミスコン自体が中止になっていたところだ。

つつがなく当然のように優勝した俺は観客の声援に包まれながら生徒会から商品と賞状を授与された。プリンは後日うちのクラスに届けられるとのことでプリン目当てだった俺としては大満足だった。賞状を夏川からもらった後、俺は横でぼーっと俺を見ていた戸田に近づいた。

「はじめまして戸田先輩、小宮今日子といいます」

「えっ、何で俺の名前……」

「知ってますよ〜〜だって先輩、とっても素敵だから」

戸田に媚びだした俺をすぐ横にいた夏川が驚いたように見る。何考えている、と目が言っていた。

「賞状も、戸田先輩からもらいたかったな」

「えっ」

俺はとびきりの笑顔を見せて、戸田の手を握った。

「先輩、今日でもう転校しちゃうけど、私のこと忘れないでくださいね?」

耳元で囁くようにそう言うと戸田がその場でぶっ倒れた。その場が騒然としているうちに俺はさっと舞台から逃げて、待ち構えていた唄子の手を借りて誰かに見咎められる前に姿を消した。



「いやー、うまく逃げられて良かったな。戸田の奴気絶してくれて助かったぜ」

トイレでメイクを落として着替えた俺は外で見張りをしている唄子に話しかける。入り口に立つ唄子はじとっとした目で俺を見ていた。

「気絶させるなんて、いったい戸田先輩に何言ったのよ〜」

「別にたいしたこと言ってねぇよ。俺の美少女パワーで勝手に倒れてくれただけ。ま、でもこれで戸田は間違いなく俺に惚れたな」

善を助けるために戸田を誘惑することが今日子に戻った理由だ。ついでにプリンをゲットするためにミスコンにも出たわけだが。

「でもキョウちゃん、確かそのやり方は止められてたんじゃなかったっけ。小宮今日子が真宮響介だってバレるかもしれないから。良かったの?」

「まあ、それは何とかなるだろ。本当に戸田が今日子の正体突き止められるかなんて怪しいし」

正直、自分へのリスクよりも善が戸田に付きまとわれている現状が続く方が嫌だった。いつか善があいつの猛アタックに押し負けてしまうのではないかと不安を抱えるのもしんどい。これでもう戸田が善に付きまとわなくなったと思うと俺はとても晴れやかな気持ちだった。


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