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ストレンジ・デイズ



「さてさて今年もやって参りました最神学園ミスコンテスト! 共学となった今年は一体どんな美女が現れるのか! 女に餓えた男共、その姿を今日はその目に思う存分焼き付けろ!」

テンション高いナレーションと共に始まったミスコンだったが、司会の男に見覚えがある。確か唄子の部活の先輩だ。俺は唄子に協力してもらいながら舞台袖から大会を見守っていた。

「今回の注目候補は前回の優勝者、2年B組、美作漢次郎。去年はロリータファッションで最も目立っていましたが、今年はどんな衣装で来るか楽しみです」

「ロリータ!?」

「キョウちゃん叫ばないでよ」

つい叫んでしまった俺を唄子が小突く。漢次郎の女装ならばお金を払ってでも見たい。

「それから前回優勝こそ逃したものの、注目株だった2年F組上原誉、前回はミニスカポリスでしたが今年のコスプレが注目されます」

「F組も女装するのか……」

F組といえばデフの中でも特に荒れているクラスだ。女装なんて罰ゲームみたいなものに参加するなんて驚きだ。

「そりゃあ景品のプリンが魅力的だもん。デフのみんなも超本気よ」

「マジかよ」

しかし今年の優勝はうちのクラスと決まっている。今からプリンが楽しみだ。

「さあて、初戦は一年S組対A組です。ですがその前に審査員の方々の話を聞いてみましょう。生徒会長の夏川会長、注目している参加者はいますか?」

司会者が審査員席に座る夏川にマイクを差し出す。夏川はそれを受け取り大真面目に答え始めた。

「そうですね、やはり今年は女子が参加しているということで、一年B組の七竈さんは優勝候補なのではないでしょうか。しかしやはり去年の覇者、二年の美作くんは強いと思いますよ」

いやお前誰だよ、と言いたくなる真面目な敬語に俺が目を見張る。隣にいたトミー先輩も二年A組の候補者を大真面目にすすめており。ふざけた大会ではないと痛感した。そして横に戸田がいるのは当然として生徒会役員としての仕事を普段はまったくしていないらしい荒木まで座っていた。

「こんな公の場に姿を表すのは珍しいですが、この大会、荒木さんはどう見ますか?」

「クラスに票入れてこいってF組の奴らに言われてるんだよ。だから全員2年F組に投票しろ」

「あっ、脅しちゃ駄目ですよ。皆さん今のは無視してくださーい」

これ以上余計なことを言う前に司会が荒木からマイクを取り上げる。生徒会はともかく他のクラス代表の生徒は怖くて従ってしまうかもしれないなと審査員席を見ると、俺達のクラスからは柊が出ていて驚いた。

「女性の意見も貴重だということで、一年A組からの審査員には柊芽々さんに来てもらいました。柊さん、よければ一言お願いします」

柊はマイクを受けとると一年とは思えない堂々とした態度で話し始めた。

「そうですね、我が愛しの今日子お姉さまが在籍していればうちのクラスが優勝確定だったんですが、八十島くんもなかなかの出来栄えかと思います。優勝を狙っていきたいと思いますのでよろしくお願いいたします」

「確かに、あの絶世の美女として有名だった小宮今日子さんがいないのは残念ですね。しかしおかげで勝負の行方がわからなくなっているので、皆さん頑張ってほしいです」

司会者が他の審査員達にも話を聞いていく。審査員席には2年F組から遊貴先輩の姿もあり、スキンヘッドがやけに目立っていた。

「では早速一組目の二人に出てもらいましょう! 一年S組、筑波綾人。そして一年A組八十島善です!」


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あきゅろす。
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