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ストレンジ・デイズ



その後の俺と善は以前のような関係に戻り、よく二人でも話すようになった。戸田はまったく諦める兆しも見せずしつこく纏わりついているので俺がボディーガードのように二人の間に割って入った。しかし戸田暁生はストーカーのくせに優しい性格は健在で俺が入ってきても嫌な顔一つせず3人で会話するようになった。最初は敵意丸出しにしていた俺もあそこまで愛想よくされると毒気が抜かれ、普通に会話するようになってしまった。善が戸田を邪険にできない気持ちが今ならばよくわかる。
そしてトミー先輩といえば「戸田が生徒会室に来なくなった!」と嘆く日々。俺は考えに考え抜いて戸田対策のために一つの答えを出した。


そしてミスコン当日。体育館には出場者を見るためにたくさんの生徒が集まっていた。休日に行われているのにも関わらず観客が多い。ミスコンは勝ち抜き戦で行われ、審査員は生徒会メンバーと各クラスから一人だけ選出され代表として投票する仕組みだ。出場の順番は一年S組からで、二年のF組で終わりとなる。つまり俺達は一年のS組と一番に対決し、それに勝つと一年B組の代表と競うことになるというわけだ。受験大詰めの三年は例にもよって不参加だった。

俺は舞台袖で善のメイクをしていた。隣には唄子が手伝いに入っていたが気持ち悪いくらいニヤニヤがこぼれている。俺が小宮今日子だったということが善にバレたと話した後、尋問のような取り調べが始まり善に告白されたことが唄子にバレたのだ。よって唄子の善×俺熱が再燃し、隣で俺達を熱く見守っていた。しかしけして口を開かず壁の花に徹しているのでたまに存在を忘れそうになる。

「で、善。今日も朝に戸田と一緒にいたらしいけど、どういうつもりだ?」

「それが、寮の出口で待っててくれたみたいで」

「いや、逃げろよ」

「それはさすがに……告白は毎日ちゃんと断ってるんだけど」

気持ちはわかるがこのままでは優しい善は一生戸田に粘着されてしまう。善のボディーガードの余目もこの前の一件が風紀部にバレて謹慎処分となり、戸田暁生に接近禁止令が出たせいでろくに妨害できていないらしい。生徒会に手を出すと重い罰が下るというのがよくわかった。

「まあいい。お前が優しい性格なのは知ってるからな。戸田の事は俺が何とかしてやるから、お前はとりあえず今日を乗りきってこい。ほら、終わったぞ」

鏡を見せてメイクした善の顔を本人に見てもらう。なかなかの自信作だ。善も満足げな顔をしている。

「すごいなー、さすがキョウ。別人みたいだ」

「まあな。そういや善って、アピールタイムは何すんの?」

出場者には五分の時間が与えられており、審査員にアピールすることができる。よって完全に見た目だけでの勝負ではなく、審査員に気に入られれば勝ち残ることができるというわけだ。

「リフティングでもしようかなと」

「へえ……そのスカートで?」

今は女子の制服を着ている善の足元をつい見てしまう。別の意味のアピールにならないか心配だ。

「スカートでも余裕でリフティングできるから」

「そういう意味でなく……」

「まあやれるとこまでやってみるよ。じゃ、俺トップバッターだから行くわ! 応援よろしく!」

「お、おう」

善は完全な外股で駆けていくので大丈夫かなと不安になる。そもそもリフティングって、ミスコンでやるようなことか?

「ああ〜〜八十島×キョウちゃん眼福〜〜」

ようやく喋りだした唄子の声をきいて存在を思い出す。最近まで戸田×善を推してたくせに調子のいい奴だ。
俺は周りに人がいないことを確認して、唄子に向かって手を出した。

「唄子、例のブツを出してくれ」

「了解!」


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あきゅろす。
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