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ストレンジ・デイズ



「俺はキョウのこと、綺麗な女だからとかで好きになったわけじゃない。俺のことを、下心とかなく本気で心配して助けてくれたから好きになったんだ」

「よ、よせよ善」

そんなに褒められると照れてしまう。今日子になっていた時、容姿はいくらでも褒められたが性格を褒められたことは皆無だった気がする。

「だから今も気持ちは変わってない。キョウのことが……いや、真宮のことが好きだ」

「え」

俺が男だとわかった時点で恋愛感情は消えたと思っていたので、善の言葉は予想外だった。どうするべきかと思ったが、ここは誠実に答えなければと思った。

「ごめん。善のことはすげぇ好きだけど、親友としか見てなくて……」

「うん、わかってる。もう後悔したくなくて告白しただけだから」

善の言葉が眩しすぎて何も言えなくなる。しかし、これからも付き合う可能性はないのだとちゃんと言っておかなければならない。

「俺、付き合ってる奴がいるんだ。そいつのこと以外、これからも好きにはなれない……」

「それもわかってるよ」

「え!?」

まさか俺と香月の交際がバレているのか。驚く俺に善は寂しそうに言った。

「阿佐ヶ丘さんと付き合ってるんだろ。知ってるよ、それくらい」

「ちげーーわ!」

ここ最近で一番大声を出した瞬間だった。どいつもこいつも何故唄子と俺が付き合ってると思い込んでるのか。

「だっていっつも教室でいちゃついてるし……今日子の時はずっと一緒の部屋で寝泊まりしてたんだろ? 付き合ってないのにそんなことできないだろ」

「できるんだよ!」

正直唄子と同じ部屋に暮らしてただの一度もそんな気になったことはない。あんな変態を女として見る方が難しいのだが、唄子も普段は一般人に偽装してるため周囲に理解してもらうのが難しい。

恥ずかしがっちゃって、という顔をしていたものの善はそれ以上問い詰めずに引いてくれた。唄子と付き合ってると思われるのは不本意だが、香月とのことがバレるよりマシなのでそれ以上は否定しなかった。

「一応確認するが、俺に断られたからって戸田と付き合おうとか考えてないよな?」

「あーー…今は考えてないよ」

「ならいい」

善の好意を無下にしてしまった以上、俺がとやかく言える立場ではないが戸田と恋人同士になられるのは嫌だ。俺のわがままにも善は笑って答えていた。

「キョウがいなくなって、落ち込んでる時に優しくしてくれた人だからちょっと流されそうになったけど、やっぱり良くないよな。身代わりなんて」

「そうそう、そうだよ善。ストーカーをそんな簡単に恋人にしちゃ駄目だから」

「というか、戸田先輩なら頼み込んだら抱かせてくれそうだなぁと思って。抱かれるのにはいい加減飽きてたから」

「お前そういうとこだぞ、ほんと……」

言わなくて良いことまで暴露し始めた善を嗜める。その後善は俺のお裾分けを笑顔で受け取ってくれて、また持ってくるという俺の言葉にも嬉しそうに頷いてくれた。


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