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ストレンジ・デイズ
□※性描写あり


「どうすんだよ、こんなチャンスもう二度とないぜ」

香月を挑発するように言うと、奴の目の色が再び変わった。わざと追い込むような発言をしたのは自分なので俺はすでに覚悟を決めていた。

香月は遠慮なく俺のシャツをまくりあげ、直に肌に触れてくる。ヒヤリとした手にあらぬ場所を触られて怖じ気づきそうになるも必死で耐えた。

「んっ……」

男には不要な胸の突起をつままれ、つい声をあげてしまう。なんてところに触るんだと反射的に香月を睨み付けるも、愛撫するのに忙しい男は気づかない。

「響介様、声もっと出して……」

「んっ、んん……」

男の胸なんか触ったところでどうにもならないのに、香月は執拗にそこに触れあろうことか舌まで這わせてきた。確かに押し倒せといったのは自分だが、舐めるのはあまり普通とはいえないのではないかと思った。

「香月、もうっ、そんなとこいいから……早くしてくれ……っ」

こんな恥ずかしいことはさっさと終わらせてしまいたい。上半身を触られただけで下は僅かに反応してしまっている。自分がこんなに感じやすいなんて思ってもみなかった。いや、相手が香月だからこうなっているのだろう。

「響介様、好きです。あなたが好きで……俺はもう頭がおかしくなりそうです」

「香月、俺も……っ」

「ですから、断腸の思いで言います。…俺はキョウ様を抱きません」

香月の拒絶に俺はすべてを踏みにじられたような気になった。まだ祐司を気にしているのか。それとも、やっぱりこんな俺ではそんな気になれないのか。

「な、何で……」

「だって、これは響介様が本気で望まれたことではないでしょう」

「望んでなかったらこんなことするかよ!」

「本気ですか? 貴方のここを……」

尻の割れ目に手を伸ばされ俺はビクッと身体を強ばらせる。香月の心地のよい声が俺の耳元で囁いた。

「俺の指でこじ開けて、俺のモノを入れて激しく出し入れするんですよ? そんなこと、本当に今できるんですか?」

「か、香月……待っ、あっ」

「言っておきますが、俺のはこんなに小さくないですよ」

香月の指がじわじわと俺の中に入ろうとしてくる。当然そこは本来入れる場所ではないので、どれだけいじっても濡れたりしない。裂けるのではないかという恐怖と、容赦ない香月の指の動きに半泣きだった。

「香月っ、待て……っ」

「散々煽っておいて今さら怖じ気づいたんですか? 好きにしていいって言ったのは響介様でしょう?」

香月の身体は俺が本気を出してもビクともしない。嫌だと何度も首を振ると香月の指が離れ、俺を優しく抱き締めてくれた。

「すみません、少しやりすぎました。キョウ様を怖がらせたいわけじゃないんです。俺のために我慢してくださって嬉しいです。でも俺は無理強いはしたくないし、嫌な思いもさせたくない」

「……別に嫌なんかじゃない」

「キョウ様には、俺を信じてほしいんです。俺は貴方とキスしかできなくても、他の人に心変わりしたりしません。これまでずっと我慢してたんですから、キョウ様の心の準備が整うまで、いくらでも待てます」

誰かに、俺には香月をとられてしまうのではないかという不安があった。香月を好きな奴はたくさんいる。俺と違ってこいつは特別な人間なのだ。言い方は悪いが早く既成事実を作ろうとして焦っていた。こんなの、俺は女かと突っ込みたくなるくらいの女々しさだ。

「それにですね、これはムードもへったくれもなくなるので言いたくなかったんですが……他にも今出来ない理由がいろいろありまして」

「何だよ」

「まず何の準備もしてません。ゴムもローションもないのにキョウ様の身体に無理はさせられません。それから」

「それから?」

「こんな床でやったら確実に身体が痛くなります。はっきり言うと、無理です」

「ベッドならすぐ横にあるけど……」

「そんな狭っくるしい二段ベッドで何ができるんですか。何もできません。あと」

「まだあんの??」

「これが一番重要です。ここは、唄子さんとの共同スペースです。そんな場所を汚すようなこと、人として教師として、絶対に出来ません」

「唄子なら変態だから逆に喜ぶんじゃねえ?」

「キョウ様!」

本当の事を言っただけなのに怒られた。しかし香月の言うことにも一理ある。道具もないのに無理をしてうまくいくのはフィクションの中だけだし、床は絶対痛い。俺は自分を好きだと言ってくれた香月を信じ、その言葉に従うしかなかった。


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