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ストレンジ・デイズ
□俺様会長vs変態王子



長くつらかったテストがようやく、終わった。

善や香月の力を借りてなんとか乗り越えることができた俺は、昼休み、貼り出されたテストの順位を唄子と共に確認しに行った。前回よりも大幅にアップしていたその順位に喜びを感じると同時に、欠点がなかったことに安堵していた。ちなみに唄子は念願の10以内に入れたようで地味に満足していた俺を尻目に大喜びしていた。



「あー、欠点なかったー……」

「良かったですね、キョウ様」

「うわっ、急に現れんなよ香月!」

いつの間にか隣にいた香月は我が事のように嬉しそうに笑う。赤点をとっていたらこの笑顔が般若になっていたかと思うとぞっとした。

「まあ、化学と数学はかなりギリギリだったけどな」

「ギリギリでも受かってくださったなら良かったです。教えた甲斐がありました」

「はは……」

確かに香月と善がいなければ俺は絶対に落としまくっていただろう。善にジュースでも奢ってやるか。

「そういえば、唄子さんは一緒じゃないんですか?」

「あいつなら向こうの方で女同士はしゃいでるよ。順位上がったんだとさ」

「じゃあ今日は唄子さんとキョウ様の成績アップを祝して、俺が豪華な夕食を振る舞いましょうか」

「マジで!? やった!」

香月の作る料理が大好きな俺はその場で子供みたいにはしゃいでしまった。俺の家には専属の料理人がいたが、小腹がすいた俺にこっそり作ってくれた香月の料理の味は忘れない。どれも簡単なものばかりだったがとても美味しかった。

「唄子さんもキョウ様も、とても頑張っていらしたみたいですから。特別です。次も頑張って下さいね」

「任せろって。俺が本気出せば余裕余裕」

欠点ギリギリのくせに調子乗りすぎだという唄子の声が聞こえてきそうだったが、そんなことは関係ない。試験などパスさえできればいいのだ。

「でも、んな浮かれてる場合でもないんだよな」

「何故ですか?」

「俺にはテストよりも大事な順位があんの」

「それって…」

「もちろん、抱きたい抱かれたいランキングで1位をとること!」

「ああ、そういえばそうでしたね。あれ、教師達には内緒でやってるみたいなので失念していました。いつ発表なんですか?」

「んー、そろそろ出てもいい頃だと思うんだが……」

俺がそうぼやいていたまさにその時、一人の生徒が駆け込んでくる。そしてそこにいた友達らしい生徒に大声で叫んだ。

「おい! 向こうで新聞部が裏新聞配ってっぞ! 急げ!」

「なっ……マジかよ!」

「早く行こうぜ!」

順位表の前にいた生徒達がいっせいに走り出す。完全に出遅れた俺と香月は呆然とその場に突っ立っていた。

「今の…何だったんでしょう?」

「裏新聞がどーたらとか言ってたような…ってまさか、結果が出たんじゃ…」

「キョウちゃんなにぼさっとしてんの! 行くわよ!」

「うぐっ」

いきなりタックルしてきた唄子は俺の腕をひっつかむと、そのままぐいぐいと引っ張りながら走り出した。訳のわからないまま俺は奴に引きずられていく。

「ちょ、唄子!? 何だよ!」

「今の聞いてなかったの? ランキングの結果が出たのよ! すみません香月さん、ちょっとキョウちゃん借りていきますね!」

唖然としながらも手を振る香月を残して、周りの生徒達に紛れ込み流されるように走る俺と唄子。結果が出たと聞いて、自分が1位であると確信しながらも俺は身の引き締まる思いだった。


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あきゅろす。
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