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ストレンジ・デイズ
□変態王子様




「呪い殺して欲しい奴がいるんだ」


「……」


散々な目にあった次の日、俺は朝から保健室に直行し1時間目の授業をサボっていた。ここなら唄子の面倒くさい追手がくることもないし、考え事をするには最適な場所だ。今はあの悪魔のような先輩になんとか一泡ふかせてやれないものかと唄子の従兄弟である樋廻に相談しているところだったりする。

「あのね真宮君、一応言っとくけど、僕そういうことできるキャラじゃないからね」

「嘘つけ。お前なら何か方法知ってんだろ」

俺はベッドに横たわりながら、椅子に座って眼鏡の手入れをする樋廻を睨み付ける。こいつは人の苦しんだ顔を見るのが好きな変態だ。人を不幸にすることぐらい朝飯前だろう。

「失礼なことを考えてるみたいだけど、僕は自主的に誰かを不幸になんかしたりしないよ。ただ人が困ってるのを見るのが好きなだけで」

「じゃあ唄子はどうなんだよ。お前にさんざん虐められてたじゃねえか」

「あれは、ただ可愛いイトコと遊んでいただけさ。というかそもそも真宮君、君は誰を呪い殺したいんだ?」

「……それは言えねえ」

それを言えばゆーき先輩と会った経緯まで話さざるを得なくなり、俺の正体がバレたことが発覚する。そんなことが香月に知られたら一大事だし、奴に弱味を握られることにもなってしまう。それだけは絶っ対にダメだ。
ちなみにあの後、即行ゆーき先輩から電話とメールが来たが、すぐに着信拒否、受信拒否してやった。少しドキドキしたが響介になった俺にもう会うことはないのだから、これが最良の選択だろう。

「ふーん。まあ、別にいいんだけど。なんなら香月さんにでも頼んでみたらどうかな。彼ならできそう、というかやってくれそうだし」

「馬鹿、あいつには死んでも言えねえよ!」

とにかく、俺はゆーき先輩のせいで(厳密に言えば完全に俺自身のせいだが)唄子のいうことを1つ、きかないといけないはめになったのだ。できるならずっとここにいたいが、昼食をとる必要がある限り俺はここを必ず出なければならず、唄子の命令に従うより他なくなる。
そしてその肝心の唄子の命令が、なんとあの変態鬼頭と一緒に昼食をとれ、というとんでもなくしょーもないものだったものだから、俺のテンションは下降の一途をたどっていた。


「うー…気が重い……」

しょーもない。確かにしょーもないのだが、俺はこれがとても嫌だ。はっきり言ってやりたくない。唄子も何でもって言ってんだからもっと有効的なこと頼めよ。俺なんかをあの変態と昼飯食わせてさせて何が楽しいんだ。まさかただの俺への罰じゃねえだろうな。

「ああもう! こんな生活もうたくさんだ! 一刻も早く生徒会補佐になって、こんな学校出てってやる!」

もう何度目になるかわからない叫びを繰り返す俺に、きょとんと首を傾ける樋廻。俺はあの鬼の先輩を恨みがましく思いながら、いつまでもぐじぐじと悪態をついていた。


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