ストレンジ・デイズ
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「教師、ですか?」
「ああ。たしかお前、教員免許持ってるだろ」
俺は頷いた。なにが起こってもいいように、出来るだけたくさんの資格をとっておいたのだ。
「お前がついていれば安心だ。私も奴の捜索に力を入れられる」
「……わかりました。命に変えても俺が響介様を守ってみせます」
俺がなんて答えるかなんて、旦那様にはわかっていただろう。彼は小さく微笑んだ。
「頼むぞ、香月。最神学園のセキュリティーは悪くないが、やはり心配だからな」
旦那様は俺の頭を優しくなでる。彼にとっては俺も大きな子供なのだ。
「旦那様も気をつけて下さい。標的が響介様とはいえ、安心は出来ません」
「わかってる。私や怜悧達にもSPをつけよう。だから香月─」
旦那様は俺の頬にそっと手を添えた。なんだかこそばゆい。
「お前も気をつけるんだ。響介だけでなく、自分の身も大事にしなさい」
俺は旦那様の言葉にかすかに残る父の面影を感じた。父と母を亡くし独り身だった俺を引き取ってくれたのは、他ならぬ彼、真宮祐司だ。彼は今の俺にとって一番父に近い存在だった。どれだけ感謝しても足りはしない。響介様と同じくらい、彼が大事だ。
「わかっています。旦那様」
まるで自分の子供のように俺を愛してくれる旦那様を見て、俺は響介様を守るためならどんなことでもしようと、自分にかたく誓った。
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