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ストレンジ・デイズ
■ホントの理由


俺が最初にその人に出会ったのは、彼がまだ小学生の時だった。

彼の名前は真宮響介。俺が世話になっている屋敷の次男坊だ。俺は彼の身辺保護兼お世話係に命じられた。当時の彼はまだ幼く「かづき、かづき」と俺の名前ばかり呼び、仕事中も俺にベッタリだった。
俺の方もそれを苦とは思わず彼にメロメロで、まるで自分の本当の弟のように甘やかして可愛がっていた。

彼に対する感情を自覚したのはずいぶん遅かったのではないかと思う。しかし彼は、真宮響介は、俺の中で確実に大きくなっていた。

最初は信じられなかった。甘えん坊の弟とばかり思っていた。事実昔は本当にそう思っていたのだから。しかし成長するにつれて彼は俺に反抗するようになった。俺のことを意味もなく呼ぶことも、俺に無垢な笑顔を見せることもなくなった。それなのに、俺の響介への愛しさは募るばかりだった。

ごくたまにはにかんで笑う、彼のくるくる変わる表情が好きで。
「香月」と俺の名を呼び今でも必要としてくれる彼が好きで。
彼の高圧的な態度も、楽観的すぎるところも、全部ひっくるめて愛してた。

たとえ彼が俺のことを嫌いになったとしても、俺のこの気持ちは変わらないだろう。彼のことを想うだけで俺は幸せだ。
俺はこれからもずっと彼のそばにいて、ずっと離れない。

たとえ思いを伝えられなくとも、俺は真宮響介が、響介だけが、好きだった。


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あきゅろす。
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