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幻想詩編
暁の星、宵の月

「できないよ」


震える君、あまりに無骨な、黒金

星は震えて、定まらない

全てがはっきり見える

震える瞳、涙、くちびる、ノド


ああ、こんなにも

愛おしいだなんて



「ごめんね、ありがとう」


その顔、忘れたくない

惜しむらくは

もう、無くなるだなんて

誰が信じるだろう

惨めに這い、すがる


「なんで、なくの」


ああ、優しい君

星が止まる、覚悟が出来た

指は白まり、固くそえる

ああ、優しい君に

赤くされたい


「次は、きっとうまくできるさ」


月は隠れる

風は止む

聞こえるのは、終わる息吹き

混ざり合い、溶ける

ああ、なんて、愛しさが


「夜も、終わる」


黒衣を剥がれ

紫煙に星は、血を流す

語るべくもなく

月も、地に飲まれ

赤い風が鳴く



「ああ、空が、赤く」



今、迎えに行くよ

この暁の

器を捧げに

独り、谺す





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あきゅろす。
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