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接触


「なんのマネですか?」


ガキンッ


「無性に君を咬み殺したくなってね」


ダンッ


「委員長にまでそんなことされると体力的にキツイんですけど」


ドカッ


「僕が楽しいからいいんだよ」


ブンッ






いつものように罵声を浴びせられ、いつものように応接室で応急処置をしていたら急に委員長愛用のトンファーで殴りかかられた。

間一髪で避けたものの、当たらなかったことで委員長を不機嫌にしてしまったらしくお構いなしに攻撃を続けてきた。

応接室にいたはずなのに逃げていたらいつの間にか屋上まで来てしまった。






ガシャンッ


「!?」


「もう逃げられないよ」






しまった、と気づいた時にはもう遅い。

フェンスとの距離を計り間違え、フェンスと委員長に挟まれてしまった。

さすがに屋上から飛び降りるなんて自殺紛いなことで死にたくはないからな。






「覚悟しなよ」


「私を追い詰めただけで満足してもらえませんか…?」


「やだね」






すぐに望んでいたものとは真逆な答えが返ってきた。

もう遊びなんかじゃなく本気になってしまった委員長を相手にしたら骨が折れるのは当たり前だろう。

絶体絶命とはまさにこの事だと思う、と覚悟を決めた瞬間屋上の扉が開いた。

私も委員長もそちらを向く。

私から気を逸らしてくれたことに感謝をするが、このタイミングでここへ来てしまうとはなんて運の悪い奴なのだろうか。






ギィッ


「昨日はこの時間帯にいたんスよ」


「応接室だとなかなか入れねぇしな」


「雲雀さんが相手だと厳しいからしかたがないよ」


「僕がどうしたって?」


「「「雲雀/さん!!?」」」






まさかとは思ったがあの三人がここに来るとは…。

他の連中だったならこの隙に扉まで走って蹴りでも一発喰らわせて委員長から逃げるのに。

空気が穏やかではない。






「君達…もしかして彼女を探しに来たの?」


「差し出すだなんて随分酷いことしますね」


「!?橘!」


「サンキューな雲雀!俺達ちょうどそいつ探してたんだ」






渡してくれとでも言うように手を私の方へ向ける山本。

一か八か助かる確率を信じてここから飛び降りようか。






「ここで君をあいつらに渡したらどうなるんだろうね」


「間違いなく私は委員長を恨みます」






小声でそんなやり取りをしていたらツナが一歩こちらへ足を踏み出した。






「雲雀さんもそいつが風紀を乱したのを知ってるから俺達のために捕まえてくれたんですよね?」


「何言ってるんだい?」


「そこにいる橘を懲らしめてくれているんでしょ」






貼付けたような笑顔で話す幼馴染みを初めて見た。

山本にも驚いたがツナも同じ部類に属していたなんて微塵も思わなかった。

まさかこれが昨日リボーンが言っていたマフィアのボスとしての素質、というものなのだろうか。

京子に恋心を抱きダメダメと言われながらも優しい笑顔を絶やさなかったツナはどこにもいない。






「一緒にしないでよ。僕は君達みたいに愚かじゃない。
僕は個人的に彼女を咬み殺したい訳であって華甍有莉乃なんかの為じゃない」


「雲雀さんだってそいつが何をやったか知ってますよね!?それなのに庇うんですか!?」


「…今僕は機嫌が悪い。それ以上何かあるなら君達が僕とゲームをしてくれるのかい?」






たしかに機嫌が悪いのは放たれた殺気や表情からでもよくわかる。

ツナ達の表情が一気に強張った。

それにしても一方的にやられるゲームなんて…私はそんな委員長の気まぐれに参加させられていたのか。






「…今日は帰ります。橘、いつも誰かが守ってくれるなんて思うなよ」






そう吐き捨てツナ達は屋上を後にした。






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