アレルヤ(ハレルヤ)で20のお題 12/いつか来る終焉の日まで/石丸転李 アレルヤは窓の外を見る。 無数に煌めく星達が綺麗だった。 先程までミッションに赴いていたアレルヤは物思いに耽た。 また人を沢山殺してしまった事を悔やむ。 それがソレスタルビイーングなのだ、と分かっていても後悔の念は尽きない。 この広い宇宙で、あの星達の様に人間は沢山存在する。 あんな広い宇宙に比べれば人間なんて1ミクロにも満たない存在であろう。 故に全人類が集まったとしても空と比較をするならば、それはたいしたことなんて無い。 しかしそんなちっぽけな存在でも、喪う事に変わりはなく、アレルヤにとってそれは悲しい事なのである。 戦争で誰かが死んでしまえば少なくともその人と家族だった者達は悲しむ。 ―――自分にもいつか必ず来る終わりの日、その時誰かが自分の為に悲しんでくれたりするのだろうか。 これが自惚れなのかどうかは分からない。 ただ、アレルヤには悲しんでくれるような家族はもういない。 そして自分はこの手で(直接的では無いにしても)武器を取り沢山の殺戮を繰り返す。 こんな殺人者がいつか終わりを迎える日が来たとして、それを悲しんでもらうなんて…やはり無理な望みだろうか。 でも、少しでも、自分の事を誰かが思ってくれていたのなら、それは幸せな事だとアレルヤは思う。 しかしそれを妨げるかの様に思い起こされた今日のミッションの風景。 「…何を馬鹿な事を」 自分は考えてるのだろう。 そんな事、有り得ないと分かっているのに。 でも、せめて、最後は誰かの手を握って人の温もりを感じながら…なんて。 しかし、それも無理な話。 キュリオスに乗れば自分は孤高の殺人者。 例えば戦ってる最中に致命傷を負い、死ぬとして、その時自分は独りなのだと悟る。 稀代の殺人者という柵から抜け出る為の扉があるとして、そこを開けるのは空っぽの、何も無い手で扉の取っ手を取るしかない。 手が塞がってしまえば取っ手を取る事は出来ないのだ。 最後は、何も持たずして、扉を開かなければならない。 アレルヤは思う。 嗚呼、これぞ悲しい宿命か、と。 その時、 アレルヤの頭の中に声が響く。 アレルヤは静かに瞳を閉じて声の主の名を呼ぶ。 「ハレルヤ……?どうしたの…?」 (「……アレルヤ、俺は――」) その言葉の途中にアレルヤは静かに頷いた。 「ああ…そうだったね…ふふ。君が心配してくれるなんて珍しいね」 (「う…煩せぇ!黙れ馬鹿!」) 「…馬鹿とは酷いなハレルヤ。でも…有難う」 手を取らずとも、僕らはずっと一緒だ。 終わりの扉を開く時も一緒に、開ける事が出来る。 それはきっと僕らだから出来る事。 他の人がそう簡単に真似出来るような事じゃない。 それなら、自分は幸せなのかもしれない。 体に、心に、君を宿して終わりを迎えれるならば。 いつか来る終焉の日。 その日までこの両手は武器を取り続けるだろう。 きっと自分によって殺された人の残された家族の恨み、憎しみは果てしない。 だが最後は独りで無いとわかった今、それでもこの人生は幸せだったと思えるだろう。 嗚呼そんな風に思えるようになってしまったなんて 僕は最も"稀代の殺人者"と呼ぶにふさわしい者なのかもしれない (扉を開けるその手は人殺しの手) (扉を抜けても彼は稀代の殺人者) END. ▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲ 今日和初めまして。石丸転李(いしまるころり)です。 この度はこの様な素敵企画に参加出来、嬉しく思います!! 今回の話はBUMP OF CHICKENの『同じドアをくぐれたら』という歌を参考に考えました。 あまりスッキリした終わり方じゃ無かった気もしますが(汗)書けて楽しかったです!!^^ この度は読んで下さり本当に有難う御座いました!! 2008.1.1 石丸転李 [*前へ][次へ#] |