アレルヤ(ハレルヤ)で20のお題
11/君の代わりなんていない/朔月
この前ティエリアに聞かれた。
何故、どうしてロックオンなのか…そんなこと言われても、僕にも理解らないんだ。
何で、同僚で年上で、しかも同性の彼なんだろう。
ふとそう思って、僕を抱き締めて眠るロックオンを見上げる。
時々、ロックオンは何かを恐れるように僕を抱き締めて眠りたがる事があった。
そんな時の彼は決まって、一人にすれば泣いてしまいそうな、そんな雰囲気で…。どうしようもなく愛おしく感じるんだ。
「ア…レルヤ…。」
眠っているはずのロックオンが僕を呼ぶ。
それと同時に身体にきつく廻る腕が愛しくて堪らない。
「此処に居るよ、ロックオン。」
僕を抱き締めるこの腕も、僕を呼ぶ声も、聞こえる吐息も、温かい体温も、閉じられたアイスブルーの瞳も、鍛え上げられた身体も。ロックオンの全てが僕を捕えて離さない。
「ロックオン…。」
白い頬にそっと触れると、伏せられた睫毛が震えて、アイスブルーの瞳が薄く開かれる。
起こしちゃったみたいだ…。
「ごめんロックオン、起こしたみたいだね…。」
「いや…。」
身体を起こしたロックオンは、僕をぎゅっと抱き締める。
…少し、身体が震えてる?
「…ロックオン?」
「アレルヤ…何処にも行くな。」
「何処へ?心配しなくても、僕は此処に居るよ。」
「そう、だよな。…全く弱いな、俺は。」
「みんな、そんなものだよ…。」
僕にだけ見せてくれる弱い姿も、素直に嬉しい。
「アレルヤ、愛してる。」
「…うん、ロックオン。僕も、愛してるよ。」
「アレルヤ…。」
ぽんぽんと背中を撫でてあげるとロックオンはまた寝息を立て始める。
なんか子供みたいだ。
「おやすみ、ロックオン…。」
温かいロックオンの胸に顔を寄せて、僕も瞳を閉じる。
何故、どうして、ロックオンなのか、僕には良く理解らないけど。
一つだけ確かのは、僕にとって彼の代わりなんていないって事だ。
FIN
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