「空から降ってきたぁ?」
夏美は気を失っている少女の額に濡らしたタオルを起きながら怪訝な視線を冬樹達に送った。
「ホントなのであります!!」
「すっごい高い所から落ちてきたんだよ!」
「はぁぁ?じゃあこの子何者よぉ」
夏美は少女に視線をまた移し、そう言った。
少女は艶やかな漆黒の髪を腰辺りまで伸ばしていて、陶器のような真っ白な肌に映えていた。顔のパーツは絶妙な位置に配置してあり綺麗というよりは可愛い寄りの顔立ちをしている。
「でもこんな綺麗な子、綺麗過ぎて同じ人間に見えないわねー。宇宙人とかなら納得しちゃうかも」
「…それは違うみたいだゼェ」
「クルル!分かったのでありますか!?」
ギィと扉を開けて入ってきたのは黄色のカエル、クルルだ。
「あぁ。検索結果は出たんだが…コイツ、どうやらこの世界の奴じゃ無ェみたいだ…。宇宙中の記録を探してもコイツの生きていた記録は残ってなかった」
「ええっ!じゃあトリップってやつ!?」
「ウッソォ!マジでクルル!」
「信じらんない…」
「ぅ…?」
ギャアギャアやっていると煩さで眠りから覚めたのか、少女がソファーからむくりと起き上がった。
寝惚け眼でキョロキョロと辺りを見回す少女に一同は静かになり固まった。
少女の髪と同じ漆黒の瞳が夏美達にとまるとごしごしと目を擦った。
「あれぇ?ケロロ軍曹がいるぅ…」
少女の口からソプラノの鈴の音のような声が出て、その言葉にケロロ達は慌てた。
「エッ我輩見えてる!?」
「いや、アンチバリアは効いたままだゼェ…」
「それじゃ、なんで…」
「んぁ?あれ、ここどこ…?」
段々と意識がはっきりしてきたのか大きな目をぱっちりと開いて瞬きをする。
少女の呟きに夏美が前に出た。
「貴方、空から落ちてきたのよ…憶えてないの?」
「空から…?憶えてないなぁ」
「私の名前は日向夏美。貴方の名前は?」
「えーっと…白椿愛って言うよ!」
「あっ!僕は日向冬樹って言います!」
「よろしく夏美ちゃん、冬樹くん」
異世界から来ました
(我輩はケロロ軍曹であります!)
(俺はクルルってんだ。宜しくナァ嬢ちゃん…)
(うん、よろしくね!)
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