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カノープスの星彩
# 03 怪しい情報屋
 
 
―路地裏の店、インフェルノ―
 
チリーン…
 
ドアに取り付けられた来客を知らせるベルが錆付いて虚しい音を響かせる。
 
「紅蜂(ベニバチ)、居ないの?」
 
「きゅ〜?」
 
灰音に続いてエルフィンが窮屈そうにドアをくぐる。
 
「また留守なんじゃねぇのか?この前、俺の知り合いも此処に来たけど誰もいなかったって言ってたぜ?」
 
「誰が留守だって?」
 
「きゃッ!」
「むきゅうッ!」
「うぉッ!?」
 
天井から逆さまにぶら下がって落ちてきた紅蜂が、全員のリアクションを見てニタッと笑った。
 
「驚かさないでよ…」
 
「いやぁ、毎回君達のリアクションが面白いから驚かすのが楽しくてねぇ…ククク…」
 
「相変わらず気色悪りぃヤツだぜ、まったく」
 
「キミも相変わらず仕事で失敗ばかりだそうだね。そろそろ真面目に仕事しないと、せっかく見つけた低家賃の仮部屋も追い出されるんじゃないかぃ?」
 
「うっ…何故それを…」
 
「小生の情報網は広〜いんだよ、ククク」
 
「フン、オマエに心配されても嬉しくないねっ」
 
「じゃあ誰に心配されたら嬉しいんだぃ?」
 
「そりゃあ、ボンキュッボンのナイスバディなお姉ちゃんに…」
 
「がぅッ」
 
「痛ってぇ!!」
 
「こら、エルフィン!私がいいって言うまで噛んじゃダメでしょ」
 
「きゅう!」
 
「言ったらいいのかよ!」
 
こんなことばっかりだから周りから“天然系コント”とか言われるのだ。
 
「…ところで君達は何しに来たんだぃ?」
 
「そうそう。危うく忘れる所だったわ。これをマテリアルにして欲しいの」
 
「おぉ!!それは愛しの巨像ちゃん!こんな上級モンスターをマテリアルにするのはキミくらいしかいないからね。喜んでやらせてもらうよ…ククク…」
 
「じゃあ、良きタイミングで引き取りに来るからよろしくね」
 
灰音がヒラヒラと手を振って去ろうとした。
 
「そういえば」
 
紅蜂の言葉で全員足を止める。
 
「君達に良さそうな情報があるんだけど…ククク…聞くかぃ?」
 
その一言に灰音の瞳が光を宿し、煉蒔の口元が不敵な笑みを浮かべた。
 
「…よっ!待ってました♪」
 

【*Bakc】

あきゅろす。
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