養鶏場建設フラグ


そういえば、と天音は思いついて半兵衛に尋ねてみた。

「半兵衛さんのところでは、牛や豚を食用の家畜として飼っていたりしましたか?」

「いや。食用というからには肉を食べるということだろう? 牛馬は貴重な労働力とみなされていたからね。わざわざ食べるために飼うなんて発想はなかったよ」

「やっぱりそうですか」

天音はこちらの戦国時代の後半、今でいう北海道から酪農や畜産の技術と習慣が流れてきたことを説明した。

「ちょうどこちらの豊臣秀吉が天下統一を果たしたあたりから、新しい技術や習慣が普及し始めたみたいなんです。やっぱり泰平の世になって情勢が落ち着いてくると、暮らしを便利にするために色々考える余裕も出てきたということなのかもしれませんね」

「そうか…確かにそういうものかもしれないな」

「いきなり畜産は難しいかもですけど、養鶏場の建設は是非お勧めしたいです。鶏を育成することで、安定して鶏卵や食肉の確保が出来ますし、蛋白質が不足しがちな生活において栄養面でかなり助かると思うので」

「ああ、僕も同じ事を考えていた」

現代では鶏卵用と食用の養鶏場は別であることが多いが、まずは農家の鶏小屋レベルから始めても良いだろう。
ある程度技術が身についてきたら改善したり規模を拡大していけば良いのだ。

それから、二人して鶏小屋の建設方法や餌はどうするかなどを話した後、半兵衛は冷たいアイスティーで喉を潤して人心地ついてから天音に微笑みかけた。

「とりあえず、目標はプリン作りだ」

「ですね」

どうやら軍師はプリンがいたくお気に召したらしい。

ちょうどおやつの時間になったので、天音は立ち上がってプリンを取りに冷蔵庫に向かった。






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