説明会1


「逆に考えてみたまえ。君達の城に見慣れない恰好をした人間が突然現れ、刃物で威嚇してきたらどうする?よくて捕縛して牢屋行き、下手すればその場で斬り殺してしまうのではないかな?」

どうだい片倉君、と半兵衛は政宗の横で険しい顔をしている小十郎に話をふった。

「『政宗様に何をする!』と、話し合う猶予すら与えず斬り捨てないと言えるかい?」

「む……」

「縛りあげた後は当然、どこの国の間者だ、何が目的だ、どうやって侵入した、と質問責めにするだろう。何しろ相手は不審人物だ。そんな怪しい人間に『自分は未来から来た』なんて言われて信じられるかい?」

これには全員が黙った。

「同じことだよ。この世界の事を何も知らないまま君達が外を歩けば、不審者として役人に捕まって牢屋行きだ。武器で抵抗した場合はその場で殺される可能性だってある。そうなれば永久に元の世界には戻れない」

静まりかえった室内に半兵衛の声が響く。
口を開く者はいない。
それぞれが自分の中で考えをまとめようとしているのだろう。
半兵衛が言っている事は正しい。しかし……と悩んでいるのが伝わってくる。

こんなおかしな状況に放り込まれて、それでも冷静に判断しようとしているのは流石だと天音は思った。






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