説明会
座敷に上がった武将達は、それぞれ思い思いの場所に座ったり立っていたりして待っていた。
他の者と微妙な距離を保っていることや、室内の空気から、彼らの間柄が決して友好関係とはいえないものであることが見てとれた。
天音に一斉に集中した視線は、彼女に続いて鞘に納めた剣を片手に半兵衛が座敷に入ってくると、今度は彼へと向けられた。
室内の空気がよりいっそう張り詰めたものに変わる。
天音は一旦部屋を出て、タオルとブランケットを抱えて戻ってきた。
「これで拭いて下さい」
濡れてしまった男達にそれぞれタオルとブランケットを渡す。
迷彩服の男は警戒した様子で受け取った後、何か仕込まれていないか調べ始め、眼帯を付けた半裸の男のほうは素直に喜色を表してそれを受け取った。
「悪かったな、庭壊しちまって」
「良いですよ、気にしないで下さい。半兵衛さんも怪我してないみたいだし、もういいです」
水をかけたのはあくまでも半兵衛を攻撃した事に対する怒りによる制裁であり、はっきり言って庭の損害はそれほど気にしていなかった。
天音が畳に腰を下ろすと、その傍らに寄り添うように──あるいは守るように半兵衛が立った。
剣は持ったままだ。
「僕から説明しよう」
半兵衛が天音に囁いた。
そうして男達のほうへ目を向けたその美しい横顔には、見た事もないほど冷徹な表情が浮かんでいた。
彼は室内にいる男達を見渡すと、静かに口を開いた。
「僕が知る限りの情報を話そう。その上で、自分達がどのような状況に置かれているか判断してくれ」
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