短編
魔王の休憩所
蔵幽です。
好まない方は見てはいけません。
時系列としては、第二回魔界統一トーナメントで魔王になり、ハンターから戻って、第三回魔界統一トーナメントがあり、それには負けて、第四回魔界統一トーナメントでもう一度魔王になった幽助。26歳くらい。
独自設定入りまくりです。
今日はたまたま会った煙鬼のおっさんが、遊びに付き合ってくれた。
ちょっとガチでバトろうぜってな。
さすがに元魔王、やっぱり強ぇ。
一日中戦って、最後に全力で霊丸(妖丸?)打ったら、僅差で勝った。やったぜ。
その際に、髪の毛がボッと伸びて、変な模様が体に浮き出た訳だが、そんな俺を見て、おっさんたちが泣き出した。
おっさんたち、というのは、煙鬼のおっさんの昔馴染みたちのことだ。
戦ってる間に、煙鬼のおっさんの昔馴染みたちが集まって、俺たちの戦いを肴に宴会始め出したのだ。
「なによぉ、あんた雷禅みたいじゃないのよぉ」
「懐かしいなぁ、なぁ雷禅」
「ざけんな酔っ払いども、誰が雷禅だ」
俺の姿に親父を思い出したらしい。狐光や才蔵など、酔っ払いたちがおいおい泣き出した。こいつら酒癖悪ィな。
そのまま宴会に俺も参入し、だんだん人数も増えて20人くらいいんのか、酔っ払いに紛れて俺も酔っ払いになり。
髪の毛邪魔だなと思ったら、俺はふらりと立ち上がった。
「なんだぁ幽助。どこいくんだ」
「もっと飲みなさいよぉ。雷禅ならもっと飲んでたわよぉ」
「雷禅雷禅うっせぇな。髪の毛邪魔なんだよ。あっちーしよ。ちょっくら切ってくる」
「えー! 似合ってるじゃん! そのままにしなよぉ!」
「そうだそうだ! もう少し雷禅を偲ばせろよ!」
「ざけんなシネ!」
ぶーぶー文句を垂れるおっさんたちを蹴散らして、俺はふらふら走り出した。
途中で2回ほど吐いたらすっきりした。あいつらの酒は、美味いが魔族の身体にも効くほど強いんだよな。
ふらふら走ってたもんだから、何回か妖怪に襲われた。サクッと返り討ちだが。
こんな万全じゃない状態の俺を襲おうとするヤツは、雑魚くらいだ。
強いヤツは、万全なときに堂々とやってくる。俺が言うのもアレだが、大概みんな脳筋だよな。
ちなみに、ちょっと今の妖力が枯渇気味の俺の手に負えないような妖怪が襲ってくると、魔王親衛隊を自称する北神たちが狩っている。
あいつら、俺が魔界にいると常に近くにいやがるのだ。呼べばすぐ出てくる。
ストーカーかよ。そんなことを言おうものなら、魔王の自覚云々を懇々と説教されるだけだから言わねーけど。
さて、アイツは今、人間界に戻ってるんだったか。
蛍子と道が分かれて数年。人間の男と結婚してガキまでいる蛍子には頼めなくなった今、髪の毛を切ってもらう相手はアイツくらいしか思い浮かばねー。
北神たちは俺のこのスーパーロン毛がお気に入りすぎて、まず切ってくれねーからな。
人間界、今何時だろうか。ま、アイツなら何時だろうが問題ないだろう。
吐いてだいぶ酔いが醒めた。先程よりはしっかりした足取りで、俺は人間界へ出た。
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