[通常モード] [URL送信]

魔王の壁越え

「じゃ、じゃあ、ユースケ僕のお嫁様に」
「なるか変態」
 冷たい目を向けたら頬を染められた。ヤバい。こいつ変態街道をまっしぐらに快走してやがる。やっぱ今殺っちまっておいた方が世のためな気がする。
 実行するか否か考えていたところ、俺の足の下から声がした。
「マジかよ。ママ、兄貴の嫁の花嫁衣装に使う布を買いに行ってるぜ」
 マジかよ。
 ブタがママとか呼ぶなよ。
 じゃなくて。
「誰が誰のために何をしようとしてるって?」
「ママがユースケのために花嫁衣装を作ろうとしてる。白無垢とドレスの二着」
「白無垢? ドレス? ユースケが……?」
 俺をマジマジと見遣ると、途端、キルアが悶絶の大爆笑で呼吸困難に陥った。
 テメェ。俺の女装を想像しやがったな。意外にちゃんと女に見えるんだぜ。隣にガタイのいい女がいれば。
 とりあえず、ムカつくので軽く蹴り飛ばしておいた。ぶっ飛んで本棚に激突して止まったが、崩れてきた本やDVDやフィギュアに埋もれてなお笑ってやがる。調教が足りねーようだ。
「オレの嫁がッッ!!」
 フゴーッと上体を起こすブタを、再び踏み付け沈めた。
「くすっ、ミル兄様の嫁が、キル兄様のおち○ぽにいるね」
「ギャアァァッッ!!」
 オカッパが実に愉しそうにブタを煽った。チビのくせにイイ性格してるぜ。
 キルアは笑い死にしかけてるし、ミルキは絶叫し続けてるし、カルトはそれを煽り続ける鬼畜をやめねーしで室内がカオス過ぎる。これじゃ話が進まねー。早いところ何とかしねーと宇宙人がやって来てしまう。ってことで、ちっとばかし殺気を放ってみた。
「……ひっ」
「うっ」
「フゴッ」
 殺気を感じ取ったカオス3人組が、顔を青ざめさせて黙った。よし。
「俺ァよ、時間がそうたくさんあるわけじゃねーんだわ」
 コクコク、と頷く3人。
「今、門のトコにゴンたちも来てる」
「……え」
 キョトンとしてキルアが呟き、体を起こした。


[*前へ][次へ#]

8/10ページ

[戻る]


あきゅろす。
無料HPエムペ!