魔王の壁越え 8 「じゃ、じゃあ、ユースケ僕のお嫁様に」 「なるか変態」 冷たい目を向けたら頬を染められた。ヤバい。こいつ変態街道をまっしぐらに快走してやがる。やっぱ今殺っちまっておいた方が世のためな気がする。 実行するか否か考えていたところ、俺の足の下から声がした。 「マジかよ。ママ、兄貴の嫁の花嫁衣装に使う布を買いに行ってるぜ」 マジかよ。 ブタがママとか呼ぶなよ。 じゃなくて。 「誰が誰のために何をしようとしてるって?」 「ママがユースケのために花嫁衣装を作ろうとしてる。白無垢とドレスの二着」 「白無垢? ドレス? ユースケが……?」 俺をマジマジと見遣ると、途端、キルアが悶絶の大爆笑で呼吸困難に陥った。 テメェ。俺の女装を想像しやがったな。意外にちゃんと女に見えるんだぜ。隣にガタイのいい女がいれば。 とりあえず、ムカつくので軽く蹴り飛ばしておいた。ぶっ飛んで本棚に激突して止まったが、崩れてきた本やDVDやフィギュアに埋もれてなお笑ってやがる。調教が足りねーようだ。 「オレの嫁がッッ!!」 フゴーッと上体を起こすブタを、再び踏み付け沈めた。 「くすっ、ミル兄様の嫁が、キル兄様のおち○ぽにいるね」 「ギャアァァッッ!!」 オカッパが実に愉しそうにブタを煽った。チビのくせにイイ性格してるぜ。 キルアは笑い死にしかけてるし、ミルキは絶叫し続けてるし、カルトはそれを煽り続ける鬼畜をやめねーしで室内がカオス過ぎる。これじゃ話が進まねー。早いところ何とかしねーと宇宙人がやって来てしまう。ってことで、ちっとばかし殺気を放ってみた。 「……ひっ」 「うっ」 「フゴッ」 殺気を感じ取ったカオス3人組が、顔を青ざめさせて黙った。よし。 「俺ァよ、時間がそうたくさんあるわけじゃねーんだわ」 コクコク、と頷く3人。 「今、門のトコにゴンたちも来てる」 「……え」 キョトンとしてキルアが呟き、体を起こした。 [*前へ][次へ#] [戻る] |