[携帯モード] [URL送信]

魔王の壁越え

「ユースケ、ヒソカ、イルミ、ちとおいで」
 説明会が終わったところでネテロのじーさんに呼ばれ、三人揃って別室に連れていかれた。そこは最終試験の面談が行われたネテロのじーさんの部屋で、俺たち三人は並んで座布団に座らされた。
 じーさんもテーブルの向こう側にあぐらをかいて座る。
「じーさん、茶と茶菓子は? この間くれるっつったじゃねーか」
「ほっほっほ、今回もすぐ終わる話ゆえ、茶も茶菓子もなしじゃ」
 胸を張って約束破られた。このじじい。
「まぁ冗談はさておき」
「俺ァ本気だった」
「三人の共通点についての話じゃ」
 無視しやがった。
 共通点だァ? 宇宙人と変態と俺の共通点なんざ、鼻と目と口と耳の数くらいしか浮かばねーわ。
 ネテロのじーさんの言葉に、すぐ正答を弾き出したのはヒソカだった。
「念能力、だろ」
 あ、なーる。確かに共通点だ。
 ネテロのじーさんが頷いた。
「その通りじゃ。飴をやろう」
 ヒソカの前にイチゴ飴が一つ、ぽんと置かれた。思いも寄らないガキ扱いに、差し出された飴を見て目を見開くヒソカ。おかしくて俺ァ噴いたね。
「さて、なぜ念能力者のお前たちを呼んだと思う?」
 衝撃から立ち直れないヒソカより早く、イルミが答えた。
「ハンター裏試験のことだろ。父さんから聞いた」
 ハンター、裏試験?
 疑問符が浮かぶ。
 ネテロのじーさんはまた一つ頷いた。
「正解じゃ。飴をやろう」
 イルミの前にもイチゴ飴が一つ、ぽんと置かれた。ヒソカの後で予想できていたからだろう。イルミはテーブルに置かれた飴を一瞥したたけだった。
「では、ハンター裏試験とはなんだと思う?」
 ネテロのじーさんの問い掛けに、じーさんの視線も、ヒソカの視線も、イルミの視線も、全て俺に向けられる。俺が答える番といつの間にか決まっていたらしい。いや待て。始めにヒソカが答えたやつならまだわかるが、これはいくら考えてもわかんねーよ。
 と思っていたら、左右からヒントがくる。
「ボクたちの共通点はなんだっけ?」
「ハンターの仕事は何だと思う?」
 念能力者、戦うことが仕事。戦う相手が念能力者の場合があるってことか。それなのに、俺たち以外の受験生は念能力者じゃなかった。このままじゃハンターとして危険だ。それはつまり。
「念能力を使えるようになることが裏ハンター試験ってことか?」
 ヒソカが拍手をくれ、イルミは。相変わらずの宇宙人発言で俺を褒めた。
「正解じゃ。飴をやろう」
 俺の前にもイチゴ飴が置かれた。こりゃどうも。袋を破り、ポイッと口の中に放り込む。
「うむ。ユースケは念についてもう少し学んだ方がよさそうじゃのう」
 ネテロのじーさんが俺を見て呟く。
「まぁとにかく、お前たちは既に念を使用できておる。というわけで、裏ハンター試験も合格じゃ。じゃがのう」
 飴をカリッと噛んだ瞬間、飴から何らかの念が吹き出し、体に浸透した。
「ぉえッ 何だこれ!」
 飴をぺっと吐き出す。テーブルに吐き出した飴から、念を感じた。さっきまで何も感じなかったのにどういうことだ。
「このように、食べ物に念をこめる念能力者もおる。見えるからといって、逆に見えないからといって油断はできんのじゃよ」
 ウンウン、と頷くじーさんの目はにやけていた。


[*前へ][次へ#]

3/6ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!