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魔王の壁越え

「なんか前にもそれ聞いたな」
 記憶を辿って思い出した。二次試験官のメンチだ。忘れろって言われたから本当に忘れてたぜ。
「でもユースケ、普通に堅(けん)使ってたよ。針の上に落ちたときとか指一本で相手を再起不能にしたときとか」
 イルミの言っているのはタワーの中でのことだよな。ケンって何だ?
「でも凝(ぎょう)で見ると念が垂れ流しなんだよね。流れてる念も何か普通のと違うような?」
 ヒソカが俺の全身を舐めるように見る。やめれ、キモいぞ。つーか、ギョーって何だ?
 わけのわからないことを代わる代わる言われた。一人腕を組んで疑問を浮かべる。
「そういえば、精孔(しょうこう)の開き具合も微妙だね」
 今度はショーコーきた。
「おめーら、わけのわからねぇ話してんなよ。説明しろ。あ、イルミには期待しねぇ。ヒソカ、説明しろ」
「何それ。ユースケ酷くない? オレ説明うまいよ」
「おめーの説明は、途中に宇宙からの受信が入るからダメだ。かと言ってヒソカの説明は嘘が混じりそうだから、イルミの役目はヒソカの説明に嘘っこがあったら違うって言ってくれ」
「それ、お願い?」
 無表情なくせに、目が嬉しそうに輝いている。お願いが嬉しいのか?
「ああ? まぁできればそうしてほしいっつー感じだな」
「嫁にお願いされた。これで婚約成立だ」
「意味わかんねーよッ!!」
 横で、ヒソカが腹を抱えて爆笑してやがる。それに蹴りを入れておく。
「取り消す。おめーにゃ何も頼まねぇ」
「今更キャンセルできないよ。さ、ヒソカ。早く嘘っぽい説明始めなよ」
「よしきた。任せてよ」
 親指をぐっと立てるヒソカ。
「嘘つく気満々で説明始めんじゃねーよ! おいてめぇ、ヒソカ。嘘っぽいと俺が感じたら、容赦なく殴る。嘘っぽいと、俺が、感じたらだからな」
 つまり、俺の感覚で嘘じゃなくても殴られるという。それに気付いたヒソカが。嬉しそうに笑った。
「嘘っぽく言えばユースケに本気で殴ってもらえるんだね。痛いんだろうなぁ」
 股間を盛り上げるな!
「こんな変態、殺っちまった方が世のためな気がする」
「そうだけど、こんなのでも時たま役に立つこともあったりするから、まだ生かしておいて。まぁ嫁がどうしても殺るっていうなら、旦那としては応援するけど」
「イルミ、てめぇはもう宇宙に帰っとけ」
 笑い転げているヒソカを蹴り飛ばし、さっさと説明しろ、と脅す。散々蹴られた挙げ句、やっとヒソカが説明しだした。

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あきゅろす。
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