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魔王の壁越え
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 ゴンたちと別れ、とにかく仕事を探すことになった。

「日雇いでもいいからなんか仕事ねーかな。土木とか」

「ユースケ。ハンター証があるのだからそれなりの仕事を選ぶべきだろう」

 呆れたようにたしなめてくるクラピカと、俺は今、パドキアの定食屋で食事をしていた。もちろんクラピカの奢りだ。俺、金ねーもん。

「それなりの仕事ってもなァ。どこでそんなん見つけたらいいんだ?」

「電脳ページによると、ハンターに仕事を斡旋する仲介屋がいるようだ」

 いつの間にやら、クラピカはこの近くの仲介屋の住所を調べていたらしい。

「だが、恐らく、この住所に仲介屋はいないだろう」

「デマか?」

「いや。情報に金を取られた。ハンター専用の電脳ページで、ハンター相手に金銭を介した取引を行うからには、まったくのデマとは考えられない。なんらかの手掛かりはあるはず。そうだな、仲介屋を自力で見付けられるくらいでなくてはハンターではない、と言いたいのだろう」

「うへ。めんどくせ」

 クラピカがクスリと笑った。

「食べたら行こう。私もそれほど手持ちの金があるわけではない」

「おー。金が入ったら今度は俺が奢ってやるぜ」

「よろしく」

 食べ終えた丼を置くと、二人で席を立つ。

「ごっそーさん。うまかったぜ!」

「あいよ、またおいで!」

 店主のオッサンに声をかけ、店を出た。

「ひとまず、電脳ページにあった住所を探してみよう」

 途中で購入した市内地図で確認しながら、クラピカが覚えた住所を探していく。

 見つけた場所には、何もなかった。 廃墟が近くにある寂れた商店街で、その住所は両隣に肉屋とパン屋があり、そこだけぽっかり空いていた。

「肉屋とパン屋の間。レ」

「レタス、などとまさか言うまい」

 口を閉じさせていただいた。真剣なクラピカに、冗談は必要ないらしい。いや、ちっとばかしマジで正解だと思ったりしたんだが。

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