Open New Door 2 「何この残念さ」 「下品過ぎる」 「顔と言動がここまで不一致ってひど過ぎる」 「神への冒涜だ」 ヒソヒソと俺に不憫な眼差しを向けて話し合う親衛隊たち。ヒソヒソ全部聞こえてるんだけど。 俺の顔は、母さん譲りの色白な小顔と色素の薄い天パの髪で、父さん譲りの切れ長なくっきり二重の目と細く通った鼻筋で、よく美人の称号をもらう。 そして、もったいないから動くな、残念だから話すなとも言われる。 まぁ、一応自分の顔が相手にどんな影響を与えるのか知ってるし、利用することだってある。でもさ、始終猫被るって疲れるじゃないか。 「ところで君ら、親衛隊だよね? 確か、禮宝(らいほう)のところの親衛隊だっけ?」 「会長さまを呼び捨てするな!」 チワワの一人に怒られた。ほかのチワワも睨んでくる。でも怒っててもかわいいんだよなぁ。 禮宝というのは、先日友達になった、この南梅山高校の生徒会長で、なんだかゲイとかバイとかが多いこの学校において、神のように崇められている男だ。 禮宝は、見た目はどこの俳優だよといった美形なのだが、中身は年相応のシモネタ野郎で、俺らの会話はマ○コやオ○ホだのといった卑猥言語が主だ。 この学校において、そんな会話ができるのが俺くらいしかいないという、可哀相な男でもある。 ちなみに、女房役とも言える副会長の高宮(たかみや)は、見た目は王子様なのに、中身は肝っ玉母ちゃんで、俺らがあまりにも下品な話をしていると上履きで殴られる。ゴキブリ扱いだ。 ともあれ、俺は今、禮宝の親衛隊に囲まれているわけで。 「ところで、なんで俺は君らに囲まれてるんだ?」 本当は予想が付いている。でもとりあえず聞いてみた。チワワたちは目を吊り上げ、怒りをあらわにする。 「警告だよ!」 「会長さまに近寄り、媚びを売ってる姿が見苦しい!」 「そうまでして会長さまに取り入るなんて畜生にも悖るね!」 「この淫売!」 と、罵られた。 いや。 いやいやいやいや? 「俺らの会話って、マ○コには電マとバイブどっちが燃えるとか、イメクラならセーラーとメイド服どっちを濡らしたいとか、おっぱいは貧乳にクリップと巨乳で搾乳どっちがしたいとか、好みのアダルト女優は誰かとか、どの女優なら見てるだけで抜けるとか、そんなんばっかだよ」 次第に顔が赤くなるチワワたち。わぁ、ピュアだなぁ。 「な、君ら、禮宝とそんな話したくないだろ。今日だってこの後昨日禮宝から借りた海外の無修正モノの感想を言い合う予定で、」 「まさかそんな下品な会話を神聖な生徒会室でしようなんて、考えてないでしょうね」 熱を感じない、冷淡な声が聞こえ、俺の心臓が跳ねた。 この艶のある、鬼畜さを感じる美声の持ち主を、俺は一人しか知らない。 [*前へ][次へ#] |