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Walker Field marshal
10








暗い暗い室内に、蝋燭の灯りがひとつ。
火が揺らめくと辺りもまるで空間が揺らぐように揺らめいた。


そんな室内に荒い息が混じる。
静寂にはよく響くその荒い息が、より肺を圧迫するように己を苦しめた。



「…ハッ、……ヒュッ…ハァハァ………」



器官まで逝かれそうだ。
発したい言葉があるのに思うように発せない。



「ハァハァ、ま…ヒュゥッ……まな……マナっ……」



あまりの苦しさに、灰色の瞳から大粒の涙が落ちる。



何が原因で、とか、治療法は、とか訊かれても答えられない。
原因などあってないようなものだから。原因には原因があり、その原因にも原因がある。辿れば何も掴めないのだ。



真っ白なシーツの上にポタポタと染みを作る。
それは意図して出来た染みではないが、水を含んだ灰色と化した部分は、淡く淡く広がっていく。

虚ろな瞳でそれを見る。

白をゆっくりと浸食する灰色に、それを止める術はない。

しかしこれは時間とともに元の姿へと戻るであろう。
だが、自分の中に広がる黒い染みは浸食を止めない。

その意味すること。それは、エクソシストのノア化。

愛した人を亡くし、大切な人たちも失った。帰る場所も、ない。



再び大粒の涙が落ちた時、僅かに空間が歪んだ。

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あきゅろす。
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