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disagreeable!
29


嵐が、去った。
そう、3人は思った。
「・・・なんだったんでしょうね」
「・・・さぁ」
「ところでエドワード」
ブラットレイが出て行った扉を見つめていたエドワードを、ロイが促すようにこちらを呼ぶ。
「・・・?」
何かとロイの顔を見た瞬間、先ほどブラットレイが言った言葉を思い出して再び顔を赤くする。
「中尉」
ロイの隣に立つホークアイに目も合わさす一言、名前を言っただけでホークアイは何かを察して執務室から出て行こうとする。
二人の間に無駄はない。
それは自分とロイの間にはない時間と経験があるのだと、その時思った。
ぱたんと、ホークアイが出て行った扉の音がやけに遠くに聞こえる。
「さっきの、大総統の言葉は、本当なのかい?」
「っ」
やはり、そのことか。
くそう、こんな爆弾落としといて消えやがって・・・!あとで覚えとけよオッサン!!
心の中でどんなに叫んでもブラットレイには聞こえるわけもない。
「ほんとだよっ!悪いかっ!!」
もうヤケだクソッ!!
「そんなこと言ってないだろう?」
「あっそ!じゃぁな・・・!」
ロイのさっきの言葉が頭の中で何度も繰り返される。
恥ずかしくて逃げるが勝ちと言わんばかりに勢いよく後ろを振り向いて扉に手を掛けようとすれば、
「エドワード」
背後から優しく声が掛けられる。
ドキンと、心臓が鳴った。
「エドワードの口から、聞けることは叶わないのかい?」
「っ・・・!」
恥ずかしい、恥ずかしすぎる。
今すぐこの部屋から飛び出してどっかに逃げ込みたい。
・・・叶わないとはわかってるけど・・・。
覚悟を決めるべきなのだろう。
次期大総統だと世間に公表されたエドワードのことを知っても、それでも尚愛していると言ってくれた。
「・・・でも、俺といたらきっとロイの妨げになる」
それでも、いいのか?
そう、告げれば、ロイは苦笑したように笑う。
「だからなんだい?それに前言っただろう?どんな障害物があろうと、私は大総統になると」
初めて出会った時、エドワードとロイとハボックの3人で食べに行ったときのことを思い出す。
まぁ、エドワードは障害ではないのだがな。と肩を竦めて続けるロイに、
「・・・本当にいいの・・・?」
まだ言うか、と、大げさに溜め息をつくその姿は、むかつくが似合っていた。
「・・・ロイ、好き、だ」
「ああ」
「好き・・・好き・・・、だっ」
「エドワード」
おいでと、両腕を広げる。
そのまま吸い込まれるように机に沿ってロイの胸の中に入る。
「私も、君を愛している」
ずっと側にいてくれるな?と、まるでプロポーズのような告白をしてくれるのだった。

そのままぎゅうぎゅうと抱き締めてくるロイに、痛い離せと言って、挙句ロイの腹に一発かましたのはまた別のお話。



The End...


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