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disagreeable!
28



「お言葉ですが大総統」
ブラットレイが話を止めてから数十秒。
エドワードには、それは、永遠にも思える時間だったに違いない。
決意の満ちた眼差しでロイは、ブラットレイを強く見つめた。
「エドワードがどういう存在でも関係ありません。私は、」
何を言うのかと、ホークアイも、エドワードも、ブラットレイも、ロイを見た。
「エドワードを、愛しています」
その言葉に、嘘はないと、エドワードは瞬時に悟った。
そして、とても驚いた。心臓が口から出てきてしまうと思ってしまうぐらいに。
「・・・っ!!!」
その言葉にホークアイも驚いたようだった。
だけど、そんな状況でブラットレイは大口を開けて笑い出した。
「?」
「いやいや、すまんすまん。まさかそこまでとわ。はっはっはっは」
笑いを堪えきれないというブラットレイに、その場にいた3人は疑問符を頭につけてしまう。
「おい、オッサン・・・?どういう意味だよ!」
少し怒鳴りつけるように言えば、ゆっくりとこちらに振り向いて優しく笑うのだ。
「エドワード、私は心から君に幸せになってもらいたいと思っていた。
 エドワードには才能がある。だから私の後を継いで欲しいと、思っていた。それがエドワードにとって一番いいことだと思っていた」
だが、と言ってブラットレイは言葉を止めた。
「エドワードは自由奔放な小鳥だからな。“大総統”などという縛りに君を巻き込んではいけないと思ったんだ」
“小”鳥というのにすごい引っかかりを覚えたが今は聞かなかったことにしよう。
「で、でもさっきは・・・」
『君がなんと言おうとエドワード・エルリックが大総統になるのだよ』
そう、ブラットレイは言ったのだ。
「それはマスタング君次第だったのだよ」
「私、次第?」
そこでブラットレイはロイの方へと向く。
「エドワードがここまで惚れている相手を見定めようとな」
「っ!!おいっ!!」
「惚れてる・・・?」
ロイの目がこちらに向いた。
ブラットレイに、ロイに対する想いを気づかれていたこと、そしてそれを告げられてしまったことに耳まで赤くなる。
そこでまた、ブラットレイが豪快に笑うのだ。
「言っておくがエドワードを泣かしたら権力総てを使って君を消すぞ」
その場に、冷たく痛い冷気が吹く。
確実にこれはブラットレイのものだった。
「・・・っ」
エドワード、と言って再びこちらを向く。
「まぁがんばりなさい。私はいつも君を見守っているよ」
頭に、大きな掌をぽんと一回乗せて、ゆっくりと、だが威厳のある動作でブラットレイは執務室を出て行った。


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