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disagreeable!
27



バンッとロイの執務室の扉を開ける。
エドワードの目に飛び込んできたのは自分の机の横に礼儀よく立つロイとホークアイ、そして、ブラットレイの姿だった。
「エドワード・・・?」
「・・・なん、で・・・」
「え?」
虚ろに、呟くエドワードにロイは怪訝になる。
だが、
「やはりここにいたか」
「大総統閣下?ご存知、なのですか?」
まるで、エドワードを探していたとでも言うような口ぶりにロイとホークアイが怪訝な表情になる。
「彼は、エドワード・エルリックという」
「エルリ・・・、ク!?」
ロイとホークアイが驚愕に目を見開く。
エドワードは、彼らに自分の正体を知って欲しくなかった。
知られたら、彼らの態度が、目が、変わるとわかっていたから。
「彼は、エドワードは私が唯一認めた、次期大総統になりうる存在だ」
「おい!」
「事実だろう」
「俺は大総統なんかにはならねえ!!」
尚もエドワードが大総統になることを願うか。
ロイがいる前で、そんなこと言って欲しくない。
それに、エドワードは大総統になるのはロイ・マスタングただ一人だと思っている。
だか、現大総統であるキング・ブラットレイはそれをわかっていながらロイの希望を曲げるようなことを平気で言う。
「君がなんと言おうとエドワード・エルリックが大総統になるのだよ」
「っ!!」
いつも笑顔を貼り付けている顔ではない。
敵と対峙している時の顔だ。
何事も経験だというブラットレイの教育方針により、何度か名を偽って戦場にも出た。
その時たまたま見たブラットレイ。その時、見た顔と、同じだった。
本気だ。
いや、ブラットレイが本気だということはわかっていた。
だが、ここまで体全体が強要しているのは初めてだ。
「お話の途中失礼ですが、エドワード自身嫌がっています。何故、そこまでして彼を?」
やっと冷静さを取り戻したのか、ロイが2人の会話に入ってくる。
「ふむ。やはり君はエドワードの練成を見た事がないのだな。
 あれは美しい。その器も中身も・・・、彼の練成はまさしく神に捧げるに値するものだ」
錬金術師などは神など信じないがな、と笑い飛ばす大総統にエドワードは睨む。
「エドワードは言わば、この座を狙うマスタング君には敵と見てもいい。そんなのが近くにいても、いいのかな?」
そう、自分は、『エルリック』は次期大総統だと全世界へと知られている。
たとえエドワード自身にそういった意思がないとしても、自分は現大総統公認の“次期”大総統なのだからロイにとっては敵以外の何者でもない。
だから言えなかったのだ。
ロイには、以前から強く恋焦がれてきたロイに、やっと近づけたのだ。
離れたくないと思うのは、愚かなことなのか。



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