disagreeable!
２
「さぁ、知りませんね」
「俺も知らないっス」
「･･･すみません」
「右に同じです」
「俺も」
「･･･」
はぁ、と溜め息を付きたい気分になったが、当の自分もこの『エルリック』という人物を知らない。
情報収集に長けたヒューズにこの人物に調べさせたが、少なくとも軍の人間ではないということだけ返ってきた。
軍に属していない人間が、いきなり大総統などという話になったのだろうか。
「息子さん、とか？」
「そんなはずはない。ご子息は一人しかいないはずだし私は何度かお会いしている」
「じゃあ、誰なんスかね」
「だからそれを聞いている」
「･･･そうですね」
「デマ、という考えはないのですか？」
「まさか。こんな大々的に取り上げているんだ。それなりの証拠というものがあるのだろう」
それに、記事の中にブラットレイ大総統からの証言もあると書いてあった。
「では、いずれ発表される、ということでしょうか」
「そうなるだろうな」
そして、その『エルリック』という人物も。
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