[携帯モード] [URL送信]

disagreeable!
15


ファーストフードで少しだけ減ったお腹を溜めて、布団を一緒に敷く。
もう夜が更ける頃。
隣り合わせに布団を敷いて、なんだかこそばゆい感じになるのはきっと気のせいじゃない。
弟と別れてから布団を並べて誰かと一緒に寝るなんてことはしたことがなかった。
へへへ、と、自然に笑みが零れてしまう。
「なんだよ気持ちわりいなぁ」
「気持ち悪いってなんだよ気持ち悪いって」
それでも笑みは零れてしまう。
「ねね、お話しようよ」
「話?」
「うん!最近あんましゃべってないからさー」
「さっきいっぱい話したじゃねぇか」
「もっと話したいの!ね、ね、だめ?」
「ま、いっか。で?なんの話しようか」
「いえーい!ジャン大好き!」
体を反転させて枕を抱きこむように上体を起こしながらうつ伏せになる。ハボックも一緒の格好で。
「そういえばエドって何歳なんだ?」
「俺?俺は19だよ」
「19!?」
「・・・なに、身長低い童顔豆粒って言いたいのか・・・ああ?」
「い、いえっそんなこと思ってません!」
「ふん」
地雷か。
「エド」
「んー?」
「俺は別に詮索するわけじゃないけど、それでもやっぱお前どうしたんだよ」
「・・・どういう意味?」
声音が低くなった気がする。いや、きっと気のせいじゃないだろう。
「お前、どこから来たんだ?どうしてこんなところにいるんだよ」
「・・・ようするに、ジャンは俺のこと疑っている、と」
「疑ってない。俺はお前は悪い奴じゃない。・・・と思う」
「何でそう思うの?」
「・・・目が、」
恥ずかしそうに少し間を空けて言うその言葉に些か驚く。
「・・・目?」
なんだそれ、と言いそうな声で聞き返される。
「目が、まっすぐで、こいつは身元もわからないけど、それでもこいつは信頼できる奴だと思った。
 だから、お前が何か話してくれるまで待とうと思った。だけど今物騒だからな。エドになにかあったら嫌だからさ」
上体を起こしてエドの近くに行ってその金の髪を優しく撫でる。
ハボックの言葉に嘘偽りなどなかった。きっと、エドもそれを読み取ったのだろう。
ハボックにされるがままに触れられている。
「・・・でも、・・・それでも、俺はまだ言えない・・・言ったら・・・、皆離れる、から・・・」
「エド・・・、俺は、俺たちはそんなので離れたりはしない」
何があるかはわからないけど。と、苦笑いした。
ハボックの言う『俺たち』というのはきっとロイを含めた東方司令部の皆のことだろう。
1回しか、会うというより見たことしかないけれど、それでもハボックは信頼しているのだろうとわかる。
「・・・いつか、話せる日がくれば話してくれよ。俺たちはいつだってお前の味方さ」
「・・・ん・・・アリガト・・・」
照れくさそうに言うその姿は可愛らしい。
「俺・・・、いつか絶対話すから・・・、絶対・・・・・・スー・・・」
「・・・寝ちまった」
はは、とその少年のような安らいだ顔に安堵の笑みを零す。



.

[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!