[携帯モード] [URL送信]

disagreeable!
10



「エドは何か食いたいもんあるか?」
「んー・・・いっぱい食えるところ!」
「おいおい・・・俺のお財布事情も考えてくれよ」
「では私が奢ってあげよう」
「っ!!」
「え!た、大佐っ!?」
背後からいきなり声が聞こえた。
気配も何も感じなかった。それほど鍛えられた者なのだろうと思う。
「え・・・大、佐?」
「あ、ああ、えと、こちらは俺の・・・」
「ロイ・マスタングだ。ハボックの上司をやってる」
「・・・はぁ、えと、エドワード、です」
「エドワードか。いい名だ。その瞳も髪も美しい」
「あ、ありがとう・・・あなたのその瞳も髪の毛も真っ黒でとても綺麗だ」
「おや、そんなことを言われたのは初めてだ」
「そうですか?俺はそう思ったけど」
「嬉しい言葉をありがとう。ところでエドワード君?」
「エドワードでもいいよ」
「でわエドワード。無粋なことを聞くようだが、君は男の子か?」
「誰が男には見えないほど小さい豆だぁぁぁ!!・・・っは!」
いきなり叫んだエドワードに、ハボックとロイ・マスタングと名乗る軍人は呆気にとられていた。
「ご、ごめん」
「いや、変なことを聞いた私が悪かった」
「・・・マスタングさんは、東方司令部の大佐、なの?」
「ロイ、でいいよ。そうだよ」
「・・・ふーん。えと、ロイ・・・?ひとつ聞いていい?」
「ん?なんだい?」
「ロイは次期大総統についてどう思う?」
「・・・と、言うと?」
「・・・エド?」
「聞いてみたいんだ。いきなり『エルリック次期大総統』なんて言われて。
 東方司令部の大佐は大総統の座を狙ってるってよく聞くし。会ったら聞いてみたかったんだ」
本当の話だ。
望まない椅子ならば、望み、そして有望な人間にその座を明け渡したほうが、この国としてもいいと思った。
『次期大総統』への期待が次第に大きくなって、精神的に辛くなっていた時とある人物を耳にした。
『東方司令部で大総統を目指す有能な若い青年がいる』と。
大総統を目指すの人間は決して少なくない。だから最初は気にも留めなかった。
だけどそんなある日、大総統主催のパーティーにほんの僅かばかり出席したとき出会ったのだ。その『青年』に。
話したわけではない。でも、側近のロスに彼の名を聞いてその瞳を見た瞬間確信した。
彼だ・・・!と。
彼の中に灯る焔に惹かれた。
彼ならば、『次期大総統』の座に座ってもいいんではないかと、そう確信した。
でも、だからこの質問は愚問なのだろう。
その瞳に灯る焔は、誰よりも高い理想と理念を持ってより上を目指している。
だけど聞いてみたいのだ。その口から。


.


[*前へ][次へ#]

あきゅろす。
無料HPエムペ!