世の中は確かに変わりつつある 1 「…亜希斗が、制裁を行った?」 俺は信じられないというように目の前の男を見る。信じられるわけがない。亜希斗が、制裁を行うなど。 「だがそれが事実だ。大嶺もそれを認めた」 「…そんな。それで、亜希斗は?」 「現在寮で謹慎中だ。処分が下るまで自室から一歩も出るなと伝えてある」 「処分はいつ出るの」 「遅くても5日くらいだろう」 目の前にいる男――篁は亜希斗の本性を知らない。だからこうも淡々と言えるのだ。 亜希斗は確かに俺の親衛隊隊長ではあるが、危害が加えられてもいない俺の為に、何故亜希斗が制裁を行わなければならないのか。 「ひとつ、大嶺は生徒会及び風紀委員のみの面談が許されている。一般生徒――お前は大嶺には会えない」 「っ!」 真意が確かめられない。亜希斗の真意が。 きっと亜希斗の部屋には風紀委員の下っ端の誰かが見張りを立てているのだろう。 この様子だと連絡手段も奪われている可能性がでかい。 早く、早く確かめなきゃ。 詳細はわからないが、亜希斗が制裁を行い、夏輝が全治1ヶ月の怪我を負ったらしい。 親衛隊隊長という立場故に、先入観がどうしても入ってしまう。 胸騒ぎが止まない。 俺にとって亜希斗は家族と同じ。家族が疑いを掛けられてたら、助ける他に何がある? _ ⊂(^ω^*)(#^ω^)⊃ |