世の中は確かに変わりつつある 1 ………着いた。 え?何で場面跳ばしたって?現実逃避だよ現実逃避。 何とかあの場を鎮めて(?)バス(と言う名のリムジン)に乗り込んだ俺に待ち受けていたのは席!うわっほい。 当然力先輩とモモと院内と篁が口論を始めた。何故篁。 しかし急に腕を引かれ座らされた先は有栖川先輩の横。 「取り合いするくらいなら不参加者の俺の横に座りなよ」 間を取ってって感じだよ。と綺麗な顔で爽やかに言われてしまった。 しかも座らされたのがコの字型の先端だから右は既に壁。 俺たちに気付いた他の奴らはまた騒ぎ出すし。お願いだから夏輝にやって俺が喜ぶから。 +++++++++++ 聖城学園の立地は桐嶋学園と何ら変わりはない。 山奥に建てられたヴェルサイユ宮殿。まさに王道。 しかしながらこの学園には少しばかり変わった校風がある。生徒会派、風紀委員派の派閥割れである。 真司からの情報だと、白い制服が生徒会派で、黒い制服が風紀委員派、どちらにも属さないのが灰色の制服らしい。 役職毎に制服も違い、それぞれが孤立した存在なのである。 「三大学園のひとつなだけあるねぇ」 俺はぼつりと零した。 三大学園は日本の学力・権力等が高い私立の学園のトップ3を言う。言わずもがな桐嶋学園・聖城学園、そしてフランクライト学園という学園である。 聖城とフランクライトはあまり交流を持たないが、桐嶋は二校と積極的に関係を持っている。 俺から言わせると、そう言う関係って簡単なものじゃないよね。だって全部権力の塊の学園だもん。意地とかプライドが強いしね。 「ようこそいらっしゃいました。私はこの学園の生徒会副会長を務めている斎藤鈴です。わからないことがあったら何なりとお申し付け下さい」 王道副会長ktkr! 目の前には学園の裏の権力者様がいらっしゃる。鼻血もの。 しかも真司の話を要約すると、副会長様も虜にしているとか。それにしても、 「綺麗な笑顔ですねぇ」 ピクリと斎藤が反応を返した。 「綺麗、ねぇ」 「綺麗ですよぉ。役者みたいでぇ」 そう言えば斎藤は目を見開いた。まさしく王道。 「コラ、聖城で敵増やしやがったら怒るよぉ」 グサッと脇腹やられてしまった。痛い。 「だ、いじょうぶ大丈夫ぅ。斎藤は真司のこと好きだからぁ」 敵とかよくわからん話だが斎藤は敵にはならんよ!真司が王道である限り! 「真司のこと、知っているのかい?」 「小さい頃からの付き合いなんですよぉ」 斎藤はおもしろくなさそうに眉を寄せた。 「ははっ、大丈夫ですよぉ、取ったりしませんからぁ」 一瞬訝しげになった斎藤はホッと息をついたのがわかった。 「君、名前は?」 「菅原元でぇす。よろしくねん」 「僕のことは鈴って呼んで」 「鈴ねぇ。俺のことはぁ元でぇ」 ふふ、って斎藤、じゃなくて鈴が笑った。王子様! さらさらの肩に届く髪と、優しげに細められた瞳が可愛いもの大好きな俺の心を揺さぶる。 だらしなくにやけていたであろう俺の服を引っ張ったのは、やはり力先輩。 そのまま腰に腕を回されて後ろに引っ張られてしまった。 「そろそろ行かないと、」 ああ、そういえば力先輩、聖城の書記さんとキャラ被るんだよなぁ。 (#^ω^)⊃ |