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世の中は確かに変わりつつある






初めて教室に足を踏み入れた。進級して2ヵ月弱プラス前年度の後期期末試験以来だから実質3ヵ月は校舎自体にも来ていない。
ザワザワとしていた教室が、亜希斗、俺、と続いて足を踏み入れた瞬間地響き張りの黄色い悲鳴が沸き起こった。

「うそっ!菅原様だっ!!」
「本当に来たっ!!」
「ちょっ、メイク大丈夫!?」
「僕はっ!?」

…何ともまぁカオスな状況で。
亜希斗に俺の席を案内してもらったら、メイクメイク言っていたチワワが必然的に近くなった。顔を赤らめたチワワに近付いて頬を撫でながら。

「俺は、ナチュラルで自然体な子が好きだなぁ」

笑顔で言った。
触れているところからチワワの熱の上昇をより感じ取った。可愛い。思わず笑みが零れてしまい、かぁわぃーね。と言う。

「元」
「うひゃっ」

腰に腕を巻き付けて来た誰かが俺をチワワから引き剥がした。いや、誰とか言わなくてもわかるけと。
耳元に吹き込まれた吐息と、お尻をイヤラシく撫でたそれに変な声が出たじゃねーか!
尻を撫でていた手が俺の顎を掴んで無理矢理振り向かせたと思ったら田沼君のドアップ。あら、イケメン。

「ン」
「元は俺のだ」

キャーッ!!教室に再び黄色い悲鳴が響いた。

「なぁにしてんの、ねぇ(おおお前!何キスしちゃってんの!?」
「ア?ンなのこのクラスにお前は俺のモンって知らしめるんだよ」
「俺、そんな趣味ないんだけどぉ(公開プレイ!?羞恥プレイ!?やめて下さいッ!)」
「人が黙って見てれば…」
「はぁいストーップぅ!」

まさかの亜希斗参戦だ。二人が俺を挟んで白熱する前に、亜希斗を胸元に、田沼君を後ろにある顔を肩口に埋めさせた。再び黄色い悲鳴。

「ここ、教室だからねぇ」
「…すみません…元様」
「…ふん」

俺の腹と肩に顔を埋めている二人からはくぐもった謝罪しか聞こえない。素直に大人しくなった二人の頭を撫でてゆっくりと二人が離れた。
そんな教室内すらも和やかな空気の中、ガチャッ、と乱暴に扉を開ける男とその後ろにもう一人。会長と副会長だ。

「あれ、本当に来たんだ」
「ぁあ゛?ウッゼ」

昨日の夏輝との行動がどうやら未だに気に食わないらしい。俺を見た瞬間、元々ピリピリしていた空気が刺々しくなった。わぁ痛い。
そんな二人にも目もくれず、俺が自分の席に着いた時タイミングよく8時30分の本鈴が鳴り響いた。

「おーう、席つけー」

チャイムと同時に入って来たのは、名前の知らない教師、多分担任だろう。赤褐色の瞳に褐色の髪が特徴的の、確か…さ、さ、…さっちゃん?
そんなさっちゃん(ってことにして)は俺に視線を流して俺で止めた。

「元がいる…」
「俺がいちゃ悪いー?…んん?」

あれ?さっちゃんって俺っていつの間に名前呼び?え、何で?

「オイ、糞教師、何元の名前呼んでんだよ」
「田沼君だけでも不愉快なのにアナタみたいなのが元様の名前を勝手に呼ばないで下さい」
「お前ら、仮にも担任にその言い方はねーんじゃねぇの?なぁ、元」
「いや、てゆぅか、アナタだぁれ?」

教室の空気が一気に固まった気がする。俺の気持ちを代弁してくれたのは有り難かったが、知らないままはまずいだろう。タイミングが悪かった気がするが。

「お前…」
「あの人は篠原千里ですよ、元様」
「ささはら、ちさとぉ?ぁあ!」
「ンだ、漸くわかった」
「さっちゃん!」
「…はぁ?」

亜希斗がすぐ斜め後ろの席から助け舟を出してくれた。ついでに言うと俺は窓際、前から4列目の後ろから3列目の何ていいポジション。

「せんせーのぉ名前、さっちゃんしか出てこなかったんだよぉ。俺ってばさぁすがぁ」

"さ"さはら"ち"さとだから"さっちゃん"。"さっち"でもいいけどね。
そう、小首を傾げながら言ったらさっちゃんはうなだれた。

「だめ?」
「勝手にしろ…」
「わーい」

一人で勝手に盛り上がった朝のHR。

⊂(^ω^*)(#^ω^)⊃

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あきゅろす。
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