記念小説 7 生徒会室に行かなくなって暫く経った。正確には、会長がいない生徒会室に、だ。 仕事は勿論してる。会長がいない隙に書類を持って帰るか、時間が許せばそこでやって、会長に見られることなく立ち去る。 にしても、気のせいなのだろうか。書類の進みが酷く悪い。 僕のがじゃなくて会長が処理したであろう書類たちがだ。 僕は朝一で生徒会室に来て、放課後会長が会議やらでいない時間を見計らって来ている。 つまりは会長がその日に処理した書類を見ることが出来る。 会議の時間とかがわかるのは、僕が生徒会の親衛隊隊長だからで、情報が随時入ってくるのもある。 だけど本当のところ、副会長に情報を戴いていた。 「…大丈夫かな…」 僕が生徒会室を飛び出したあの日から会長の様子が変だった。何か、よそよそしい感じ。 それが不調によるものなのか、それ以外に何かあるかはわからないが、心配だ。心配で胃に穴が開きそう。 勿論僕が心配したところで何か変わるわけじゃないが、少しでも気がラクになるならと、僕は書類を片付ける。 自己満足のようだが、会長と副会長しかいなくて、しかも会長が不調な今以外にいつ助けるんだ。 書類を数枚手にして僕は生徒会室を出た。 ++++++++++++ Side,Shouya 「ばっかじゃないの?」 スパン!と何か平べったいもので頭を叩(ハタ)かれた。スリッパだ。何故ここにスリッパがあるのかは知らんが。 「馬鹿だ馬鹿だとは思っていたけど、まさかここまで大馬鹿だったとわ」 「…」 相当ムカつく言葉を北斗は言っているくせに、俺に反撃の言葉はない。 「麻耶は翔也の為を思ってやっていたのに、それをその仕打ち?馬鹿じゃないの死ねよ」 「オイコラ待て」 北斗がアイツの名前を呼んだのもムカついたし、暴言を吐かれたことにもイラッと来た。 そんな俺を見て、北斗は大きく溜め息を吐(ツ)いて携帯を差し出してきた。 「…あ?」 「麻耶に謝罪の電話しなさい。どうせ翔也は麻耶の番号もアドレスも知らないでしょ」 「!」 いつもいつも、同じことに苛立つ俺は単純だ。 そもそも苗字すらあまり呼ばない俺は、誰かがアイツの名前を呼ぶだけで苛立つ。 北斗がアイツを呼ぶ為に連絡を取ることに苛立つ。 アイツが、北斗にもお茶を出すことに苛立つ。 要するに、アイツに俺以外が関わるだけで苛立つんだ。 「だ、れが電話なんかすっかよ」 どもってしまった。羞恥心。 「別にいいけどね。僕の分の書類は終わったし。翔也は麻耶が少し持って行ってくれたのに片付けてないんじゃね。僕が仕方ないから麻耶の部屋に行って慰めて――」 「ふざけるな」 ほんとムカつく。 いくら親友だろうと許さねぇよそんなけと。 例えアイツが北斗の親衛隊だろうと、知ったこっちゃない。 _ (^ω^*)(#^ω^) |