中編小説 いち 俺は俗に言う『美形』という顔立ちらしい。 だから幼い頃から大人の女性から同い年の女の子たちまでに渡りチヤホヤされて来た。 だからどうってわけではないが、この顔により、俺は何故か『親衛隊隊長』という役職のに就いている。しかも生徒会長の。 誤解のないように言っておくと、この学校は確かに小中高大一貫校の男子校の上に全寮制であるし、勿論ホモやバイがウヨウヨウヨウヨ。俺もバイだし。 でもここの学校で言う『親衛隊』と言うのは、王道でよくある、「キャーヽ(≧▽≦)/会長サマァwwwwww」みたいな集団ではない。 言うならば専属のお手伝い集団みたいな。 会場設営や行事の受付など、その場に適した親衛隊たちが親衛対象者からの要請で動く、まぁ、雑用係だ。 親衛隊全員セフレです。みたいな展開は勿論ない。セフレがいないとは限らないけど。 と、まぁ俺たち親衛隊や生徒会や風紀委員などの役付きとは結構仲良くやっていたりする。 ++++++++++++ 「あ、美波ー、会長が呼んでたぞー」 おっとやばすやばす。会長サマから来たメール無視していたのついにバレたか。 「気のせいだろ」 「いやいやいや、会長そこまで来てる、」 「―――美波」 だって会長人使い荒いってかやたら仕事やらせるってかそもそも俺に放課後あんの?みたいな。 つまりはめんどくさいっつーわけで。 「おげぇぇ…」 「おら、お前が遅いからわざわざ迎えに来てやったぞ」 「遅いんじゃなくて行かなかったんです。絶対俺がやる仕事じゃないのやらせてるでしょ会長」 「ンなことねぇ。オラ、行くぞ」 「どうせなら美沙緒ちゃんに迎えに来てほしかったな―――いだだだだっ!わかったって!行くからって!」 痛いほど腕を引っ張られ連行される俺には、後ろで友人がいってらっしゃいと言ったことにも気付かなかった。いやまじ痛いんだって。 ++++++++++++ 漸く解放された腕をわざとらしくさする。抱け!罪悪感!!とかって考えたけど、この会長サマが罪悪感を抱く訳ないと自己完結。 「でー?今回は何すりゃいいわけ」 「素直だな」 「ここまで来たら拒否出来んべ」 しかも何、そのデスクの上の紙束。うんいやまぁ美沙緒ちゃんが用意してくれた俺専用のデスクの上だから簡単に悟ったけどね! てか役員でもないのに生徒会室に俺専用デスクがあるとかまじないべ。毎日来いってか。 「理解力が秀でていてとても助かる。流石俺の親衛隊長」 「いや、そこ親衛隊とか言われても嬉しくないからね」 とかなんとか言いつつ席に座る。美沙緒ちゃん曰わく、夫婦漫才らしい。誰と誰が夫婦やねん。 美沙緒ちゃんって言うのは、この学校の生徒会会計を務める綺麗系男子のこと。ついでに言うならば俺のセフレ。 そんでもって紹介が遅れたけど、この学校の生徒会会長こと、如月会長。厳つい顔してっけど俺様だけど一様同い年。見えないけどね。 ++++++++++++ 「はいよ終わりー」 ここで決めポーズ。誰も見てないことが救いだね。あ、会長が哀れんだ顔してたわ残念。 「相変わらず早いな」 「ンッフー、でしょでしょ?俺生徒会にほしいんじゃない?ぷぷっ」 「ああ、欲しい」 正直者は辛いね会長! 「まぁそれ以前にお前は俺のモノだけど」 「下半身は美沙緒ちゃんのモノです。なんてー」 「…不純異性行為…いや、不純同性行為は認めないぞ」 「セフレって不純?」 「不純じゃなかったら何なんだ」 えー、と俺は唇を尖らせた。はず。 「じゃあ会長、俺と純粋なカンケーになる?」 冗談で、おふざけで言ったはずだったのに、会長ったらあまりに真剣な眼差しで、 「いいぜ」 とか言っちゃうから、俺困っちゃったよね。 _ (´ω`*)(#´ω`) |