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中編小説






ペインティングナイフがキャンバスの上をガリガリという音を立てて滑っていく。
真っ白なキャンバスの上に薄茶色の下地が出来始める。

――新しい作品か。

ドアに取り付けられた、丁度頭くらいの高さの丸窓からその様子を窺う。

その人は顔を窓際に向けて、横顔と言えるほどよくは見えないが、その人の澄み切った空気はドア越しですらわかる。
その澄み切った空気を直に感じたことはない。これからも直に感じることはないのかもしれない。
だから、自分はこのままでいいかもしれない。

キャンバスがみるみるうちに塗りつぶされていく。
その人は油絵の中にあまり速乾材を加えないから、ひとつの絵を完成させるのに数ヶ月の日数を要する。
少しずつだが、その人の絵が出来上がっていくのを見ているのが楽しい。

自然に洩れた笑みを押し込めて、俺は仕事をするために生徒会室に戻る。

帰りにまた美術室に寄ろう。その人の温もりが残る美術室に。



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(´ω`*)(#´ω`)

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あきゅろす。
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