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中編小説
otto





大学から出場する生徒たち計3名が空港で待っていた。
生徒の内ひとりは、元チームメイトである竹下だ。
細い体躯で彼は剛と同じバイオリンを弾く。
そのためか、変な敵対心を燃やされていて、空港で合流した時あからさまに嫌そうな顔をされた。

「じぃちゃん遅いなぁ」
「そうだな」

じぃちゃん、とはあの老いぼれた先生のことだ。
その名称を発したのは、剛の腐れ縁の沢磨だった。
沢磨と先生には決して血縁関係があるわけではないが、沢磨曰わく親しみを込めて、だそうだ。

沢磨はチェロの奏者で、チェロの入った大きなケースを背負っている。
剛と竹下がバイオリン、沢磨がチェロと言うことで音楽祭は弦楽器によるものだということがわかった。

何も竹下じゃなくとも。
弦楽器なら他にもあるだろうと最初は思ったが、今や思いはフランスの音楽祭へと向いていた。

「ふぉっふぉっふぉっ、遅れてすまんねー」

ほんとだよ老いぼれ。
遅れたことへの謝罪の気持ちが見えないが、俺はそれを一瞥しただけで視線を動かした。
視線の先には電光掲示板。
フランス行きの飛行機が出るのはあと1時間弱。
俺はこれから起こる未来に胸踊らせていたのも、また事実だった。



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(´ω`*)(#´ω`)

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