中編小説
さん
それから暫くして、外に出たら水蒸気になって消えるんじゃないかってレベルの暑さ。
終業式から毎日のように届く爽やか君のメールについては触れない方向にして、あ、そうそう、今日ついに来るんですよ。
え?誰がって?それはね、
「邪魔するぞ」
不良様キターーーーーー!!!!!!
「へー、案外キレイじゃねぇか」
俺の部屋に来るなりそう言い、何かを言う前にベッドに座った不良様。
相変わらずの傍若無人ぷりです。
「…で、あの、改革って何を…」
「あん?ああ、その1、前髪を切る。その2、洗顔・手入れを学ぶ。その3、眼鏡をかち割る」
「はい!!!?」
呆然と聞いてましたけど最後で意識戻りました。が、
「や!やや!意味わかんないですよ!!」
「あー?うっせ」
「ちょっ!!」
「おら、取り敢えず美容院行くぞ」
スクッと立ち上がった不良様は迷いなく扉に向かったので、そのまま素直に帰って下さったらどれだけよかったか…。
や、まぁ現実は違いますよね。
なかなか動かない俺の腕を掴んで立ち上がらせる。
「おっお金!ないですから!」
「あ?金なんていらねぇよ。だからとっとと歩け」
「ギャーーー!!!」
++++++++++++
「こんなんでどう?」
「いいじゃねぇか」
前髪どころか後ろまで綺麗に整えられました。
とても綺麗な美容院に、取材を受けてそうなほど整った顔立ちの美容師さん。
てか!顔が!見えて!!!
「何、こんな子を改革すんの」
物好きだねー、と美容師は笑う。
「言っとけ」
「わっ!」
気付いたら美容院出てました。
「お金は!?」
「いらねっつってんだろ」
一刀両断されました。
次はどこへ行くのかビクビクしていたら辿り着いたのは我が家でした。
「次は洗顔だ。洗面台はどこだ」
答えちゃうね!俺も悪い!
そして始まる洗顔講座。
不良様が持ってきた洗顔道具で優しく顔を洗う。
もちろんその後の美容液も忘れない。
…まさか、自分がこんなことをする日が来るなんて思ってもいなかった…。
「これを毎日朝夜しろ。絶対だぞ」
そして最後に一言。
「一週間後にまた来る」
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