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中編小説
いち





俺だって好きでこんな顔してるわけじゃない。

ニキビで醜い顔面に、それを覆う前髪。極度の近眼な為に分厚い眼鏡。顔を見られたくない目立ちたくないせいで常に俯いていた末に根暗と言われる。

この顔が、常識的に不潔なものであるというのは知っているし、出来ることなら鬱陶しい前髪をさっぱりさせたい。
でも無理なんだ…。このニキビを隠すにはこれしかないんだ…。





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ドンッ、とぶつかった腕が痛い。



「うっわ最悪〜!キモ野触っちゃったぁ〜!」

「うわー、エミ汚ーい」



それが俺に対する女たちの反応。

悲しいことに慣れてしまい、怒りも悲しみも沸いてこない。



「マヂキモ野どっか行けよ」



シッシッとされて無言で立ち去る。
彼女たちの言うようにしたのに後ろから悪口が未だに聞こえてくる。



「あんま気にすんなよ」



そう言って俺に唯一話し掛けてくれるのはクラスの爽やかイケメン君。
心も爽やかではないようで、よく女子たちに「キモ野には近付かないで」と言われている姿を目撃するが、爽やか君は持ち前の爽やかスマイルで有無をいわさず話を中断させている。

話し掛けてくるのはいつも爽やか君からだけど多少なり悪いと思っている。
だから暗に近付くなと言ってもダメみたいで、出会ってから3ヵ月経った今も変わらない。



「…大丈夫だから」

「そうかー?もし大変だったらちゃんと俺に言うんだぞ。俺にね」



胸をポンッと拳で叩いて胸を張る。最近いつもこんな感じで、俺が少しでも固まっていると(決して悩み事ではない)ほぼ必ずやってきて同じことを言う。
時々爽やか君に頼みごとをすると、そりゃあもう輝く爽やかスマイルで手伝ってくれる。
そしてそれもまた女子たちには許せないことのようだったりする。



「今は特にないから…」

「そっか。あっ、昼飯は?まだ食ってないんだろ?」



そしてこれもお決まり。

最初の頃はここら辺で女子たちが「キモ野なんてほっといて〜」と入ってくるんだが、最近何故か遠目で見ていて遠目から睨んでくるようになった。なぜだ。



「…まだだけど」

「お!俺も昼飯まだだから一緒に食わねぇ?」



そしてここで爽やか君の必殺・有無を言わせませんスマイル。



「…ごめん、今日も用事あるんだ」

「えー!?昨日も一昨日もそう言ってたじゃないか。俺も用事手伝うから一緒に食おうぜー」

「えっ、や…」



用事なんてありません口実ですから近付いてこないでー!!!



「も、申し訳ないし俺1人で出来ることだから」



爽やか君は一気に不機嫌になりましたフェイスに早変わりする。この顔がまた怖い…。

で、でも俺も負けない。



「だ、だから、バイバイ!」

「あっ!清野っ!」



走って逃げました。




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(´ω`*)(#´ω`)

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