中編小説
に
「あれ?尚じゃん」
何とも言えない空気が漂う生徒会室に天使降臨。いや女神だ。
俺の紹介してないことに今更ながら気付いたけどね。俺は美波尚。美波は苗字ね。ちゃんなんて付けやがったら掘るからな。
「美沙緒ちゃん来るの遅くない…?」
もうだいぶ片付けちゃいましたけど。
「だって今日尚来るって聞いてないもん。ね、きーさらぎ会長」
「…言う必要もないだろ」
「ふーん」
あ、美沙緒ちゃんの目が愉快そうに細められた。美沙緒ちゃんお得意の目で相手をからかうの術。なんつって。
「尚は何の書類やってんの?」
「アンケートだってー」
「おお!高等部分あるやつじゃん。頑張ってんねー」
「………」
高等部って何人いると思ってんだ。1000人だぞ。つまりは1000枚だぞ。
「いつからやってんの?」
5時間前ですが!!
って言ったら、やっぱ尚って仕事早いねー!とだけ言われた。労りの言葉はなしか。
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会長はパソコンを閉じた。終わったのかクソヤロウ。
美沙緒ちゃんは美沙緒ちゃんで優雅に紅茶何か飲みやがってせかせか働いてるの俺だけか!みたいな!
「あ、ナオナオー」
美沙緒ちゃんが思い出したように俺に近付いて来た。何だ、手伝ってくれるのか。
「今日僕の部屋に来てねー」
ちゅっ
違いました。夜のお誘いでした。
まぁわかってたけど。
そんで生徒会室から出て行っちゃうってのも予測してましたけどね。
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俺と美沙緒ちゃんの間に恋愛感情はない。
ただ、キモチヨクなりたいからセックスするだけ。謂わばセフレだが、別に悪い関係だとは思っていない。
美沙緒ちゃんは見た目に反さず身体も綺麗な肌で、適度に柔らかい。そんで気持ちいい。
「…ん、ナオナオー…」
行為後だというのに美沙緒ちゃんは誘うように擦りよってくる。
こう見えて美沙緒ちゃんは絶倫なんだけど、受け身なのに疲れないんかな?あ、俺は勿論タチね。
「美沙緒ちゃんはこの関係やめたいと思ったことあるー?」
「このカンケー…?」
「うん、セフレって関係」
うーん、と美沙緒ちゃんはダルそうに思案した後顔を上げて、
「別に」
とだけ答えた。
「ハッキリしてんねー」
「だってどうせ流に僕らの関係は不純だ云々って言われたんだろう?」
「あながち間違ってないわな」
美沙緒ちゃんは一息吐(ツ)いた。
「想いが伴えば、不純じゃないんでしょ?」
「…まぁ」
「じゃあ僕らは不純なカンケーじゃないし」
「…は?」
「だから、僕が尚を好きだから抱かれる。ここオーケー?テストに出るよー」
あれ?告白ですか?
取り敢えず俺は戸惑った。そりゃ大いに戸惑いましたとも。
だって俺が冒頭に言ったこと嘘になんねか…?
「ま、考えといてね」
え、俺どうしろと?
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「てなことがあったんですよ…って聞いてる?カイチョー」
「……ああ」
よかった聞いてた。いやでも絶対聞いてなかったってかボーっとしてたべ。絶対に。あれ、絶対を二回繰り返してたわ。
「それで?お前は受けるのか?」
「受けるって?告白を?」
「ああ」
何か知んないけど会長の眉の間に縦線入ってんだけど。ぷぷ。
「受けないと思うよー。何か美沙緒ちゃんの告白がいたずらの延長みたいな感じなんだもん」
美沙緒ちゃんの気持ちを100%否定するわけじゃないんだけどね。
やっぱ俺らにはセフレって関係で培ってきた絆があるんすよ!何て言ったら蔑まされそうだから言わないけど。
およ?てか気付いたら会長の縦線がキレイに消えてやんのー。何かあったのかこの数秒間の内に。
「オラ、その書類とっとと片付けろ」
「えーっ!さっきこれ明日まででいいつってたじゃん!」
「知らん。兎に角終わらせろ」
何となく理不尽感じたけど、何か会長機嫌よさそうだからちゃぶ台返しはしないことにした。偉いでしょ。
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