嘘つきな君に
マルコの場合
与えられた自室で次の島で買う備品のチェックをしているとリアが部屋に入ってきた。
「マルコ、マルコ」
俺を呼ぶから振り向かずに言う。
「なんだよい」
今日はエイプリルフール。俺を騙そうとニヤニヤしながら近づいて来ているであろうリアの魂胆は見え透いている。
「私、マルコのこと愛してるの。付き合って」
何て馬鹿のことを言い出すから。
「はいはい、俺も是非とも付き合ってほしいねい」
適当に相槌を打っていると
「もー、つまんない!流さないでちゃんと相手してよね!」
怒り出すリア。
まったく、この末っ子には困ったものだい。
はぁと深くため息をつき、リアの方に向き直る。
「ちゃんと騙されたふりすればいいのかよい?」
「そう!ふりでもいいから騙されてよ!ビスタもジョズも騙されてくれないんだもん…」
「ちやみに何て騙したんだい?」
「…言わない」
それから黙りこくってしまったリア。仕方がないから嘘に付き合うことにした。
「リア、騙されてやるよい」
そう言うとパッと顔を上げて満面の笑みを浮かべるリア。どうもこの末っ子には甘いのだ。
「じゃあいくよ?」
「準備はいいよい」
「えっとね、さっきついた嘘は全部嘘なの!」
"嘘"の"嘘"。それは"本当"。
甘いのは末っ子だからだけではなく。
俺も君を愛しているから。
嘘の中の真実
(ビスタとジョズにはね、マルコと付き合うのって嘘ついたの)
(もう一回嘘ついてくるといいよい)
(…何て?)
(マルコに振られた)
(…!マルコ!大っ嫌い!)
(…俺もだよい)
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