[携帯モード] [URL送信]

SS
温もりを

レイユリで現・学パロです。





あ、停電。

そういえば計画停電だったっけ?

すげー暗いんだけど。昼間なのに・・・。

この部屋の場所が場所だからな・・・。

「今カーテン開けんなー?」

「あ、いいわよユーリくん。そのまんまで。」

「は?だって暗れーじゃん―-―――っわ、」

レイヴンは当然ユーリに後ろから抱きついた。

「何すんだよおっさん!!やめろって、ちょ、おい」

「良いじゃないのユーリくん。せっかく暗いんだから楽しもうよ?第一に此処校舎の裏なんだしカーテン開けたって変わらないわよ」

「そりゃしょうだけどよ!!た、楽しむったって、誰か来たらどーすんだよっ!!!」

「放課後の理科準備室なんて誰も来ないわよ・・・」

「でも―――「お願い。ね?」・・・」

レイヴンの手が、震えている。気がする。

部屋には暖房はついていない。

あ、そうか、おっさん寒いの弱いんだっけ。

「・・・せーねんは、あったかいね。」

「・・・おっさんだってあったけーよ。」


反抗はしたものの、はっきりいってもう動きたくない。
手を握り合っていると、互いの温もりが伝わってくる。
自分の温かさなのか、相手の温かさなのかが麻痺して判らない、この状態が心地よい。

「ユーリくん、そろそろ先生って呼んでくんない?」

「うっせーよ。いいじゃんおっさんなんだし。それに・・・」

「なに?」


「・・・俺だけの呼び方で呼びたかった。」


「・・・え?」

「いや、おっさんって呼んでるヤツもまー、いるけど、そうじゃなくて・・・なんか先生って、こう・・・」

「・・・」


ぽふっ、と胸に顔を埋めて言った。


「なんか・・・手が届かない存在な気がしてイヤだった・・・。」

レイヴンがユーリの髪を指で梳く。

「・・・ユーリくん・・・。」

「手・・・とどいてる、か?」

「うん。・・・ちゃんと届いてるわ。ね?」

きゅ、と手を強く握る。

「ああ・・・。」


こんな暗い所、正直言って好きじゃ無いけど。

でも、この温もりを手放したくなかった。

ちょうど、子供が母親の胸に抱かれているような感覚で、目が覚めていても寝たふりをしてしまうように。

無邪気な子供のように、手放したくなくて、



この温もりを、あんたを。


[*前へ][次へ#]

第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
無料HPエムペ!