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連載番外編
くちなしifネタ


松永の所に身を隠していた督姫との再会。



「くちなし、くちなしなのね?ここにいるのね?」

「はい、姫様。くちなしはここに」

「ここにいるのは私を母上から取り上げた産婆なのね?私を育てた乳母なのね?私が父上とおんなじくらい大好きな、忍びなのね?」

「はい、姫様、督姫様、そうです。ここにいるのはくちなしでございまする。あまりに無口なせいで姫様のお父上に口無しなどと呼ばれた女忍びにございまする。ご安心召され、ゆるり御身を委ねなさいませ。ちゃあんとここに控えておりますれば」

「ああ、ああ、くちなし。くちなし。どこへ行っていたの?門が壊れる音がしたときお前は傍に居てくれなかった。父上と共に流罪になった時だって居なかったわ。」

「姫様、申し訳ありません」

「父上が床についていたのになぜお前は現れなかったの?元気な父上は疱瘡だろうと肺の病だろうとお前なら全部治せると父上は言っていたわ。なのに床についている父上は一度もお前の名前を呼ばないのだもの、どうして?」

「姫様、大丈夫です。くちなしはここにおりまする」

「くちなし、くちなし、どうして?どうしてお爺様は戦に出ておられたの?どうして父上は寝込んでばかりだったの?黒い忍びは消えたの?どうしてお前がいないの?」

「いなくなったものもありまする、消えたものもありまする。姫様、くちなしは姫様のお傍に戻ってまいったのです。どうか姫様、落ち着いてくださいませ。」

「いや、いや、いや、くちなし。眠りたくないの。あなたの夢ばかり見るのよ。お爺様が黒い忍びと一緒にいて、父上があなたといるの。だけどあなたに近づこうとしたら急に姿が見えなくなるの。父上が血を吐いて死んでしまうの。お爺様の首が、首が、転がるの。いやよいや、ここにいさせて、あなたがいないと父上が死んじゃう」

「姫様、もうお休み下さい。くちなしはここにいます。うなされておいででしたら助け起こして差し上げまする。」



if世界の督姫は小田原攻めで父親と一緒に流刑になってた。
けど病による父の急死で天涯孤独の身に。
そこを松永が拾ってきた。
梔子と出会って向こうの世界を思い出した。
いろいろシリアスの後に強く生きていってくれるはず。


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