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連載番外編
35


「あの」

「なんでしょう」

「梔子殿は口がきけないと聞いたのですが」

「きけないと申したことはありませぬからな」

「・・・・・・なるほど」



火鉢があるわけでもない部屋は狭くは無いが、もともと広くも無い部屋である。

座布団をどっからか取り出して畳の上に落とし、すとんと座れば五助もそれに倣ってもう一つの座布団に腰を下ろす。

とりあえず、と梔子は話を促す言葉でもと口を開いた。



「茶もお出しできませぬが、お許しを」

「いえ、先に何も申し上げていないのですから」

「では私に用事と申されておられましたが、お話いただけますか」



ひとつ視線を揺らしながら、五助は「私がこちらに参ったのは、梔子殿に少々の相談を聞いてもらいたかったからです」となにか言う。



「面識も無い男からの頼みなど不審に思われるでしょうけれど、どうか話を聞いてはくれませんか」

「・・・・・・?どうぞ」



梔子は「?」と内心首を傾げるが、話を続けるよう促す。

少しホッとした顔になった五助は、なんだか強い意志を宿していそうな必死そうな色があったことにまた首をかしげた。



「我が母に、薬湯を煎じてはいただけませぬか」

「・・・・・・ン?」


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あきゅろす。
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