連載番外編 26 「刑部、起き上がって大丈夫なのか」 「あい、あい。今度は妙に具合が良い。治りも早い。メデタキな」 「だが、廊下で急に倒れたそうではないか。やはり横になっていたほうがよいのでは」 「なに、大丈夫よ。本当に今日は具合が良い。ヒヒ、ホントよ、ホント。」 がしょがしょ、がしょ、 硬いもの同士を打ちつけながら動かすような音。 サボっていたわけではないが、いかんせん溜め込んでいたため大量になった武器たちを整理する音だった。 武器と言うのは消耗品で、折れたり無くしたり、飛び道具は大抵が単発であるので勝った傍から無くなる。 なのに梔子はそれが無い。消耗しないのだ。出来ないといった方が正しい。 戦が無いなら無いでどこかしらの情報収集に向かうものを、自室に篭もりきりなおかげで機会が無い。 「・・・・・・(鍛錬は欠かしていないけど、カンが鈍っていたらいざと言うとき困るよな・・・)」 中途半端なのだ。 立場も仕事もやる気も達成感も。 (そして結局杞憂に終る) (そんな事考えつくことも忘れていた) [*前へ][次へ#] [戻る] |