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連載番外編
24


かんかん、と柱を叩いてから入室する。

いきなり背後に立つなといわれたので改めたのだ。



「誰かは知らんが、入りやれ」

「・・・・・・」



・・・それでいいのか。

すいと障子を開ければ、大人しく横になっている姿がある。

呼吸と顔色から判断しても、具合は悪いらしい。

傍に寄って様子を窺えば、包帯巻きの顔がこちらを見たので懐から板を取り出してそこに筆で文字を描きつけて見せる。

薬師を呼びに行ったけれど留守であったという内容と、とりあえず間に合わせで貰ってきた薬を届けに来たと伝えればそうかと一言。



「やれ、手を貸してはくれんか。一人では起き上がるのには難儀なのよ」

「・・・・・・」



その言葉に梔子はコクンと一つ頷き、横になっている大谷の掛け布団を上半身半分剥がし、その背中に手を入れてゆっくり起き上がらせる。

そしてすぐに肩へと上掛けを羽織らせて、手に薬と水を持たせた。

慣れたものである。

梔子からすればこれは上司からの命令なのと、数十の似たような病状の相手をしていた長い医術師生活が一連の行動を躊躇無くさせているのだが大谷からすればびっくりだ。

さっさと出て行けと言う気持ちも込めて言ってみた冗談であるのになぜこうなる。



「・・・まあ良いか」

「?」

「なんでもないわ。」



忍は考えを読ませないよう表情を変えない反応も単一、確かにそうだが危険にはよほど近づこうとしないものではないのか。

そして薬師が作ったものではないが薬湯を持ってきたと器を差し出すので、いよいよ首を捻った。

飲みたくなければ薬師のところへ走ってくる、とまで言う。

さすがにそこまでしていたらどれだけ時間が掛かるか分からないので飲み干したが。

薬湯は苦味の薄い、塩味がした。

一体何を入れたのだろう。



飲み終えた器を片付けて出て行った後で、自分が頭巾を被っていないことに気が付きとうとう唸った。


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あきゅろす。
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