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連載番外編
流れを止めるとどうなるか


すぐさま事態を収拾したいなら、鳥ポケモンの背に乗りミミロルとミロカロスに近づいてボールに戻すのが一番早い。

それぐらいわかっている。


だが今ここには海賊数十人に七海の王とその従者がいたりする。

後々の事を考えるとこの世界の人間に顔を覚えられるのは思わしくない。


バサラの時は色々と関わってしまったが、本来出会うはずがない者同士が出会ってしまうと両方の世界の流れに良くも悪くも大きな影響が出るのでやめておきたいのだ。

それにたしかあの王様、『この世界にやってくる部外者は例え神でも容赦はしない』とかなんとか言っていた。

敵対する気が無いと解ってくれたとしてもこの世界で言う大いなるルフの流れとやらに影響が出ると判断されれば何されるかわからない。


(顔を隠したまま、すぐに決着をつけるのが得策か)


まずメタモンに指示を出しそこらの海賊をモデルに服や顔、体つきも完全に男に変える。

一応男物の香水も軽く付けて、荷物は癒羽に持たせてボールを付けたベルトとスタイラーのみを身に着けた。



「水タイプには草、けど相手は氷も使ってくる・・・・・」



定石通りならここは電気タイプ。

そしてこの即席の氷のフィールドを自由に動けるとなれば小柄ですばしっこい子。

できれば彼らに気が付かれにくい方が良いだろう、と判断した瑠璃は選んだポケモンの名前を呼んだ。



「エモンガ!ピカチュウ!」



騒ぎに乗じてマストから滑り降りては甲板の隅へと隠れて海を睨んだ。

ゴーグルをかけなおし、瑠璃は指示する。



「ラプラスと一緒にすぐにミミロルの回収へ向かって。終わったら船の陰にでも隠れていてね、特に向こうの船の三人組には見つからないように」

『なんで?』

「有名な人だから」



擬態させずにいた靴、レンジャー専用のシューズの力を借りて海に浮かぶ氷の塊に飛び移る。

さて後ろから回り込むか正面突破かと一瞬動きを止めた時、ミロカロスの一番近くで動いていた船からいくつもの網が飛び出していった。

多分大型の魚を捕るための鉄製の網だ。

槍や銛を使っていないのは無傷で捕まえたほうが高く売れると考えたか。

なんにせよそれは瑠璃の怒りを煽るのには十分だった。


(なにしてやがる海賊・・・・・・!)


見ていると子供を助けるためにミロカロスは海へ潜って逃げることができないらしい。

それならばどうするか。

簡単なのは海賊を一度にまとめて潰せば良いのだがそれは目立つのでやれない。

それなら。


(水中から近づく!)


ゴーグルと一緒になっているボンベを口元に装着し、海へと飛び込んだ。


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